今回の新会社法では“会計参与”という新しい機関が登場しましたが、この機関は何をするのでしょうか?
会計参与は、取締役や監査役と同様に登記される会社の役員として、取締役とともに会計書類を作成することです。だた、取締役・監査役と大きく異なる点がひとつだけあります。それは誰もがこの役職につけるわけではないということです。
会計参与になれるのは、税理士・公認会計士(税理士法人、監査法人含む)だけです。
顧問税理士と似ているように思いますが、違いがあるのでしょうか?
実際、イメージとしてはかなり似ていると思いますが、顧問税理士はどんなに社長と懇意にしていたとしても会社内の人間ではありません。顧問税理士は、会社外部の一事業主として契約し、各種会計書類・決算書を作成している存在です。
ですが、会計参与は会社内部の人間になります。ですから、会計参与に過失があり、会社に不利益が生じた場合などは、株主代表訴訟の対象になることも充分に考えらます。つまり、会計参与とはそれほど責任の重い立場なのです。
それだけ責任が重い立場だからこそ、対外的に見れば、会計参与がいる会社の計算書類は従来よりも信頼できるということになりますね。
最近では、企業の会計不祥事は後を絶たず、上場している企業でも粉飾決算が行われていたりします。中小零細企業においても役所・金融機関へ提出する財務諸表は改ざんされていたりもすることがあるようですが……
そうなんです。そこで、会計参与という顧問税理士よりもさらに責任を重くした機関を設置させ、会計の適正化を図ろうというのが会計参与制度の意図なのです。しかし、税理士・公認会計士の立場からしてみると、単に責任が重くなるだけでは誰もやりたがらないでしょう。ですから、当然、顧問税理士に払っている顧問料よりも、会計参与には高い報酬が必要となることが想定されます。
では、会社にとって会計参与を置くことはどのようなメリットに繋がるのでしょうか?
企業の会計が対外的に大きな信頼を得られるというのは、非常に大きなメリットも生み出します。例えば、
金融機関も“会計参与が作った計算書類”ということで、各種の財務諸表に対して大きな信頼を寄せるでしょうから、融資などが有利に運ぶと考えられます。
また、大手企業と取引をする際にも、会計参与が作った財務諸表を提出することによって信頼を得やすくなり、結果的に取引できる確率が上がるかもしれませんね。
ちなみに、この会計参与はすべての株式会社(非公開会社であっても公開会社であっても、取締役会設置会社でも取締役会非設置会社でも)で設置が可能です。
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