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会社設立のプロが語る 起業家のための新会社法のポイント
VOL.4
会社は誰のもの? 出資金の比率に潜む落とし穴

新興企業やファンドによる企業買収が相次ぎ、「起業は誰のものか?」という話題が注目されています。このことは起業家の皆さんにとっても重要な問題なのです! 「気が付いたら会社が乗っ取られていた!」といったことがないように、資本と出資の問題について丸山学行政書士がわかりやすく解説します。


ゲスト:丸山 学(まるやま まなぶ)
行政書士法人あすなろ(旧丸山行政書士事務所) 代表、
有限会社丸山事務所 代表取締役、
起業家支援団体NPO法人Jungle 理事

民間企業の経理・総務課長職を経て、2001年8月行政書士事務所を開業。
会社設立手続き、契約書作成代理、資金調達などの法務面だけでなく、
マーケティングやビジネスモデルの構築など経営全般において、
起業家を徹底的にサポートする。

1.社長! 会社はあなたの私物ではありません

大企業の買収問題の話題を聞くたびに「会社は誰のものか?」
という話題が出てきます。社長としては自分が血眼になって会社を成長させてきたので「会社は自分のもの」と思ってしまいがちですが、実際の法律上のことを考えれば会社は株主のものとなります。そういった意味でも、会社の機関設計とともに重要となるのは資本金と出資者の問題だと思いますが、どのように決めればいいのでしょうか?

  よく勘違いされる方がいるのですが、会社は社長(=代表取締役)のものでもなければ、その他の取締役のものでもありません。ましてや従業員の所有物でもありません。会社の経営を直接的に行うのは取締役(取締役会)で、その中で会社を代表する存在として取締役の中から代表取締役が選定されていますから、確かに直接的に会社を動かしているのは経営者である取締役たちです。

しかし、その取締役を選任しているのは株主の集まりである“株主総会”です。ということは、誤解を恐れずに分かりやすい表現をすれば、社長(代表取締役)を含めた取締役たちというのは株主の手のひらで転がされる存在であるともいえますよね。

小規模の会社においても同様のことが言えるのでしょうか?

  小規模の会社では株主も社長も同一人物であるケースが多くあります。
つまり、自分が出資のすべてを行い(=自分がすべての株を持ち)、自分を取締役、
そして代表取締役に選任しているというケースです。この場合は、すべてが自分の自由となります。

でも、もし第三者に出資をしてもらって事業をスタートさせる場合には、出資の割合が問題となってきます。株式会社というのは“数の論理”がすべてを支配しますから、株主たちは原則として一株について
ひとつの議決権が与えられるわけです。つまり、お金を多く出資している株主は、
それだけ議決権が多くなり、会社を自由に動かせるようになる
ということです。

例えば、取締役の選任には株主総会で過半数の賛成が必要なので、
資本金のうち過半数(51%以上)を出資している株主は、
取締役や代表取締役を自由に選任できるようになります

具体的にはどのようなリスクとなるのでしょう?

  出資割合のことを深く考えずに、第三者から「オレが資本金を全部出してあげるよ」などと言われて、その通りすべてを受け入れた場合、例えば自分が代表取締役に就任していたとしても、
いつ解任されるかわからない不安定な立場になります。
「自分の会社」と言うためには、最低でも自分が過半数の議決権、
つまり資本金の50%超を自分で出資するよう整えておく必要があるということになります。
さらに言うなら、重要事項を議決できる3分の2を超える議決権を持っておく(=出資しておく)
といいと思います。

2.「出資してあげるよ」の甘い蜜と苦い毒

「自己資金だけでは必要な資金がまかなえない」
「どうしても第三者の出資を受け入れないと事業がスタートできない」
というケースも多々ありますが、どうしたらいいのでしょうか?

  新会社法では資本金1円から会社を設立できるようになりましたが、設立できることと事業をうまくスタートさせることはまったく別の問題です。

例えば、自己資金が100万円しかない状態で事業を軌道に乗せるために
どうしても資本金が500万円必要だというケースの場合に、第三者であるA氏が事業の成功を見込んで
「残りの400万円を出資しよう」と申し出てくれたとします。ここで、この提案をそのまま受け入れてしまうと、
自分の決権は20%になり、A氏の議決権が80%となってしまいますので、
A氏が会社の重要事項をすべて決議することが可能となります。
となると、この会社は完全にA氏のオーナー会社ということになってしまいます。

でも、多くの起業家はそういった裏に潜むリスクや先のプランまでわからず、
どうしても目先の資金に困ってしまった場合、出資を受けてしまいます。
そうして後々、誰の会社かわからなくなるということがあるようですが、
そのような事態を避けるいい提案はありますか?

  例えば、先の例の場合、A氏に対して全額出資ではなく
「一部を会社に対して貸付の融資にしてもらえないか」などの提案をするのもいいかもしれません

また、必要な資本金を自分ですべて用意できるという場合でも、
例外的に第三者からの出資を受け入れたいケースがあります。
それは積極的に自分の事業に特定の誰かを巻き込むことがビジネス的に良い効果を生む場合です。
つまり、「私の会社が儲かれば、あなたにも利益が配当される」という利益配分の図式を作ることによって、
出資者からノウハウや人脈の紹介などの効果が期待できる場合などですね。

こうした提携の方法を“資本提携”と呼びますが、単なる業務提携よりも出資者と一蓮托生の間柄となり、
大きな効果を期待できるようになります。

ただ、できるだけ自分の自由に会社を動かしたいのであれば、 最低でも自分の出資割合が50%超に、
さらに可能であれば(重要事項を議決できる)67%以上になるように調整したほうがいい
と思います。

3.教えて! 資本金の額と1株の金額、発行数

資本金の額と1株の金額はどのように決めたらいいのでしょうか?

  会社の資本金の額とは、出資者全員の出資額を合わせたものになります。
出資をするということは株式を引き受けるという行為になるのですが、
このとき、会社は1株の金額を定める必要があります。
以前は商法で1株の金額は5万円以上という決まりがありましたが、現在では自由です。
ですから、1株が1円でも10万円でも構いませんが、資本金の額が100万円以上であれば
旧来の慣例に習って1株を5万円くらいに設定するのもいいかと思います。
逆に、資本金の額が1円であれば1株を1円とする以外に方法はありません。
もし、1株を5万円と設定するのであれば50万円の出資をする株主は10株を引き受けるということになります。

では、発行株式数はどのように決めたらいいのでしょうか?

  設立に際して発行する株式の総数は、資本金の額を1株の金額で割った数字になります。
そこで問題となるのは「発行可能株式総数」ですね。会社は設立後にも増資という形で
資本金を増やしていくことが可能なのです。増資をする場合には誰かに出資をしてもらい、
その人に株式を付与するのが一般的ですから、将来的に会社が発行する株式の数というのは
変動していくことが考えられます。会社が将来的に何株まで(定款を変更することなく)
株式を発行できるのかを表すのが、先に言った「発行可能株式総数」になるのです。
ですから、将来的にいくらくらいまで増資をする可能性があるのかを考えて、
その額に見合うように1株の金額と考え合わせて「発行可能株式総数」を考えることをお勧めします

──前回、Vol.3『取締役はひとりでOK! 無理をしない会社組織の作り方』へ戻る

──次回、Vol.5『新会社法に潜む役員選びの失敗を防げ!』へ続く

ゲスト:丸山 学(まるやま まなぶ)
行政書士法人あすなろ(旧丸山行政書士事務所) 代表、
有限会社丸山事務所 代表取締役、
起業家支援団体NPO法人Jungle 理事

民間企業の経理・総務課長職を経て、2001年8月行政書士事務所を開業。
会社設立手続き、契約書作成代理、資金調達などの法務面だけでなく、
マーケティングやビジネスモデルの構築など経営全般において、起業家を徹底的にサポートする。
商工会などでの講演やテレビ、ラジオ、雑誌等のマスコミ出演も多数。

著作には「行政書士になって年収1000万円稼ぐ法」「めざせ週末社長」「ブログではじめる!
ノーリスク起業法のすべて」「月100万円のキャッシュが残る 10の利益モデル」
(いずれも同文館出版)、「確認会社設立 1行政書士が教える1円で小さな会社をつくる本」
「新会社法対応 シロウトでもできる株式会社&LLC(合同会社)設立マニュアル」
(いずれも秀和システム)、「資格で起業」(PHP研究所)などがある。

ナビゲーター:大橋 悦子(おおはし えつこ)
株式会社ECOM 代表取締役、296会社有限責任事業組合(296LLP)職務執行者

平成5年株式会社金沢エアシステム入社し、株式会社日本エアシステムグランドホステスに勤務。その後、平成8年、渋谷工業株式会社入社国際部配属を経て、平成12年伊藤忠商事株式会社へ入社し、輸出入業務、営業、為替予約管理全般に携わる。平成14年起業家支援サイト296会社.com (作ろう会社どっとこむ)(http://www.296kaisha.com)を立ち上げ、翌年リーダーズクリエーション株式会社(現株式会社ECOM)を設立、代表取締役に就任。平成18年296会社有限責任事業組合(296LLP)立ち上げ、296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部を同組合で職務執行者として運営。

独立開業支援を軸に、各分野のスペシャリストと業務提携し国内外法人設立支援、経理記帳支援事業、戦略の立案、各種法的相談支援、広報・PR・セミナーなどの企画・立案・運営業務の事業を幅広く行う。

小冊子「誰も教えてくれなかった起業・独立の極意」通算2万8,000部発行配布、「資本金1円で会社設立」セミナー通算15回開催延べ約500人参加、100社以上設立支援、「サラリーマン起業で年収3倍倶楽部」通算17回開催延べ2,000人参加、その他会計税務セミナー、コンサルティングコースなど開催し、毎回満員御礼にて多数の実績。

制作提供:(株)ECOM 296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部 http://296kaisha.com
(C)2006 ECOM Co., LTd., All rights reserved. 296会社.com
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