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会社の数字から迫る!起業成功と失敗の分岐点
VOL.1
先の計画がない起業はうまくいかない!

「起業したい……」──2006年5月に施行された新会社法が話題になるたび、そんな思いを抱いている人も少なくないでしょう。とはいえ、ひと口に起業といっても何をしたらいいのかわからない。そこで、起業をする前の心構え、そして実際に何を考えなくてはいけないのかについて、税理士という立場から多くのクライアントの指導をされている釜谷彰一税理士に伺いました。


ゲスト:釜谷 彰一(かまたに しょういち)
税理士、株式会社東京会計計算センター 代表取締役

平成6年に東京会計総合事務所入所。 平成9年、東京会計総合事務所パートナー税理士となる。 平成13年、インターネットで行う低価格のWEB税務会計ソフト販売を始めたほか、株式会社東京会計計算センター代表取締役就任。東京会計総合事務所税理士10名で関東近県を中心に、1,200社のクライアントを持つ。

1.何よりも自分のやりたい事業計画を明確にする

新会社法の施行後、起業独立を目指す方が増えてきていますが、
それと同時に多くの方は、周りに相談できる人がいないので、実際に何から始めたらいいのかわからないという問題を抱えているようです。先生は起業前の準備としてまず何をするべきだとお考えですか?

  私たちの元にも、よく「起業したいのですが、何をすればいいのですか?」という相談に訪れる方がいらっしゃいます。ですが、起業したいという動機だけではなく、どんな事業をやりたいかのか、何をすべきなのかを明確にして、スタートすることが必要と思います。 ですから、先のような相談をされる方には「法人なんていいから、まずは個人でやってみなさい」とお答えしていますね。そして、次の段階になったら、また相談していただくようにお話しています。

なるほど。先生の言うように事業をスタートしたとして、次の段階とはどういう時期で、その時に何をすべきなのでしょうか?

  私は税理士なので、税務の立場での判断が中心になるのですが、税制的に法人を設立した方が有利なのか、このまま個人事業主で続けた方が有利なのか、という判断をすることになります。出資者や役員の構成によっても、また業種や業態によっても違いますが、荒っぽい言い方をすると、「利益で1,000万円を超えたらそろそろ法人を作ることを検討するときだよ」とアドバイスをしています。役員の構成は、家族だけであればそれでもいいですし、ひとりでやるんだというなら、役員がひとりだけという構成でもいいと思います。

2.ビジョンをしっかり持ちなさい

なるほど、利益で1,000万円が法人設立の目安なんですね。

  ただ、税金的な話とは別に、経営者に「こういう道筋で事業を始めたい」というビジョンが明確にあったり、「取引先が企業なので法人にする必要がある」ということであれば、その道筋どおりに事業を始めるべきでしょう。

確かに法人を設立すると維持費が高くなりますが、自分が歩む道や、社歴が何年というように考えた上で、しっかりとした事業プランができているのであれば、税金は次の話ですので、法人を設立してもいいと思います。


目先の売上を一気に上げることが得意な起業家の方は多いですが、会社を立ち上げても2年目、3年目になると会社がガタガタと崩れてくる社長が多いのも現状です。そのようにならないために、起業前の段階から何を、どこまで準備しておくべきでしょうか?

  まずは事業の短期、中期、長期計画がしっかり立てられているかどうかでしょうね。「おもしろいからやってみよう」というものではなく、例えば、中期で3年間ならこのステージまで行きたい、5年間までこういうステージまで事業を持って行きたいということをしっかりと明確に持ってほしいです。

そうすれば、たとえ事業が凹んでも、「私はこのために、今これをやっているんだ」という先のビジョンがしっかり見えているので、迷わずにそのまま事業を進めていけます。また、事業を修正する場合にも的確な判断が可能でしょう。

そのような計画を立てるときのポイントとして、売上をベースで考えるべきでしょうか? それとも戦略をベースで考えるべきでしょうか?もしくは、何か他にポイントがありますか?

  まずは戦略でしょう。自分が何をしたいのか、自分が将来的にどのようなステージを目標しているのか、そのために今、何をしたいのかを明確にすることが必要です。それが明確になった後に、自分が思う数字、つまり売上を付けていき、それを分析し、これで事業を進めていくことができるかを考えることです。

それも、難しく考えずに、数字が得意な人であれば数字から書いてみる。例えば、1年目、2年目、3年目というように書き出してみたり、必要な経費について書き出してみたりする。そして、これで事業が進められるかどうか考えてみるといいでしょう。

そうすると具体的な数字が見えてきますね。

  そうですね。そのような事業計画を見て、私たちが客観的にアドバイスする場合、「家賃がこのくらいかかるんじゃない?」「このステージになると従業員が必要だね?」「経費もかかるね?」「そうなるとこの計画でやると利益が出ないよね?」「もう少し計画を練り直さないといけないね」というプロセスをたどることになります。

──次回、Vol.2『経費を忘れていませんか? 会社運営に重要な数字を読めない経営者たち』へ続く

ゲスト:釜谷 彰一(かまたに しょういち)
税理士、株式会社東京会計計算センター 代表取締役

平成6年に東京会計総合事務所入所。平成9年、東京会計総合事務所パートナー税理士となる。
平成13年、インターネットで行う低価格のWEB税務会計ソフト販売の始めたほか、
株式会社東京会計計算センター代表取締役就任。東京会計総合事務所税理士10名で関東近県を中心に、
1,200社のクライアントを持つ。また、嘉悦大学非常勤講師、税務会計研究学会会員、
日本税理士連合会認定外部監査人資格。講演「不動産税務のポイント」や「法人の有効活用法」、
「生命保険と税務」など多数の実績を持つ。

ナビゲーター:大橋 悦子(おおはし えつこ)
株式会社ECOM 代表取締役、296会社有限責任事業組合(296LLP)職務執行者

平成5年株式会社金沢エアシステム入社し、株式会社日本エアシステムグランドホステスに勤務。その後、平成8年、渋谷工業株式会社入社国際部配属を経て、平成12年伊藤忠商事株式会社へ入社し、輸出入業務、営業、為替予約管理全般に携わる。平成14年起業家支援サイト296会社.com (作ろう会社どっとこむ)(http://www.296kaisha.com)を立ち上げ、翌年リーダーズクリエーション株式会社(現株式会社ECOM)を設立、代表取締役に就任。平成18年296会社有限責任事業組合(296LLP)立ち上げ、296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部を同組合で職務執行者として運営。

独立開業支援を軸に、各分野のスペシャリストと業務提携し国内外法人設立支援、経理記帳支援事業、戦略の立案、各種法的相談支援、広報・PR・セミナーなどの企画・立案・運営業務の事業を幅広く行う。

小冊子「誰も教えてくれなかった起業・独立の極意」通算2万8,000部発行配布、「資本金1円で会社設立」セミナー通算15回開催延べ約500人参加、100社以上設立支援、「サラリーマン起業で年収3倍倶楽部」通算17回開催延べ2,000人参加、その他会計税務セミナー、コンサルティングコースなど開催し、毎回満員御礼にて多数の実績。

制作提供:(株)ECOM 296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部 http://296kaisha.com
(C)2006 ECOM Co., LTd., All rights reserved. 296会社.com
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