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知らずに上場するな!株式公開の魅力とメリット
VOL.6
頭のいい社長は上場を有利に進める

「やっぱり上場したい!」──そうは思っても、上場のためには最低費用がいくら必要かを知っていますか? 意外と掛かる上場費用を抑えるテクニックと申請書類を作成するときのポイント。さらには、上場してからの成功の秘訣や、頭のいい経営者がやっていること、悪い経営者ができなことなど、株式公開成功の大きな役割を担う主幹事証券・監査法人の両方にて、また、株式公開成功ノウハウが詰まった「†の部」の作成や東証のヒアリングに出席された山本秀一先生公認会計士・税理士がわかりやすく解説してくれました。


ゲスト:山本 秀一(やまもと ひでかず)
公認会計士・税理士、山本秀夫事務所所属

日興證券(現日興コーディアル証券)に入社後、「IIの部」をはじめとする、
証券取引所への申請書類の作成と証券取引所との折衝、
取引所による上場審査への回答の作成指導などを行う。
その後、朝日監査法人(現あずさ監査法人)で株式公開部門などを担当。
現在、公認会計士・税理士山本秀夫事務所入所。

1. 上場費用を抑えるには認知力とブランド力が有効
上場には、監査法人、証券会社(主幹事)、印刷会社、外部コンサルタントなどへの発注で、合わせて数千万円以上かかると認識しています。費用負担もかなり大きいと思いますが……

 監査法人の場合は、上場直前の2期を監査するわけですが、これだけで1,000万円くらいかかります。1期目が300万円から500万円くらい、公開直前期で600万円から800万円くらいが相場でしょうか。当然、公開後の監査報酬は上がることになります。

さらに、証券会社から公開の助言を受けると、年間500万円くらい掛かりますね。以前は主幹事証券会社による公開前の準備指導は公開時の株式の引受手数料に含まれていたのですが、最近は公開前の準備指導もアドバイス料として料金が発生しています。

だいたい株式公開前に2,000万円くらいは掛かるということですね。上場後も維持費が掛かりますよね?

 株式公開すると固定費が掛かります。監査法人の監査報酬、開示資料の作成・印刷代、株主総会の開催費用、東証やJASDAQへの登録費用などがありますね。ですから、単純に資金調達の優位性だけで判断すると、株式公開して増資や社債発行をするより、銀行から融資してもらったほうがいいかもしれません。

このように株式公開して資金調達をしようとすると、提出する書類が増えます。しかし、公開することで人は採れるし、知名度も上がり、見えない利益があるということで公開を目指す意義は大きいです。また、「†の部」はコンサルティング会社にお願いしなくても、自分で作ることもできます。以前は皆さん自分で作っていたんですよね。なにせ会社のことがわかっていないと作れませんから。

では、作成における重要なポイントは何でしょうか?

 他の会社のものを真似して、体裁だけ整えても、見ている側からはわかります。申請の書類には自社の強み弱み、ノウハウが凝縮されています。そこでオーナーや幹部が自社のことを再認識するんですよ。

一番審査の時に大事なのは、なぜ儲かっているのか?ということで、うちはこれがあるから強い、うちは低コストで人を採れる仕組みができていますとか、ノウハウが蓄積できるようにできているから得意先が逃げませんとか、他には無い強みがあるからできるんだという説明ができるんです。

ですから 、「IIの部」などの申請書類の作成責任者は、オーナーの息子さんや後継者にすることをお勧めします ね。申請書類を作成することにより、会社の強み弱みを認識することができますから。審査で「時流に乗った」「運が良かった」などと答えるオーナーはちょっと怖いですね。 将来のビジョンが言えて、さらに今がそのビジョンに繋がっているということを説明できれば百点満点です。

それ以外にも公開しやすくなる方法はありますか?

 公開する前から知名度のアップはしておいた方がいいですよ。その会社が公開しやすい、公開すると話題性があるとなると、プレミアがつきますから、監査法人や証券会社、コンサルティング会社の手間も減るので、公開費用はそんなに掛からないかもしれません。

認知されていたり、マスコミ戦略を上手にされていたりする会社の方が有利なわけですね。

 会社がいくら儲かっていても、知名度が低ければ、主幹事証券や監査法人は興味を示さないので、費用が余計に掛かる可能性があります。何度も申し上げていますが、私の根幹の考え方として公開は目的ではなく、ツールであるということがあります。ツールをどうして使うのかというと、つまり、企業の強さや価値が上がるために使うわけです。ですから、書類を作成することにしても、外部からアドバイスをもらいながら共同で作成することで、コストも抑えられるし、ノウハウも自社に貯まりますし、いいと思います。

2. 頭のいい社長がやっていること、悪い社長ができないこと
ところで上場してからも成功し続ける経営者はどのような方たちでしょうか?

 頭のいい経営者はリスクを聞いてきますが、できない経営者は「これをやってもいいですか?」と聞いてきます。頭のいい経営者は自分で判断したいので、判断する材料としての意見を聞いてくる のです。ですから、こちらも「こういう風にしろ」とは言いません。

例えば、「A社を買収しようと思っているのですが、買収してもいいですか」と聞かれても、いいとも悪いとも答えられません。ですが、「A社を買収しようと思っているのですが、財務諸表を見てコメントをください」と言われれば、「ここにリスクがある」「引当金が積んでいないよね」「債務保証がありそうだから、A社のオーナーに確認しなさい」などと答えられます。 常にリスクとチャンスを案分にかけてやるべきです。

自分でも判断できない情報は専門家の先生に聞くということですね。

  起業家の方はイケイケ、ドンドンでやりますが、 最初に撤退基準をきめておくべきです。例えば、当初予想しているキャッシュフローの曲線から500万円下回ったラインを作って、その下回ったラインが3ヶ月続いたら撤退するなどと決めることです。なかなか撤退はしずらいと思いますが、事前に基準を作っておかないと、それこそ泥沼にはまります。

投資したらなんとしても回収したいと思ってしまいますよね。

 「もうちょっとしたらいける」と思ってやっているうちに、あっという間に1年が経ってしまいます。オーナーが一生懸命にやっていても、ハタからみたら明らかに失敗という場合もありますからね。そういったことはいくら部下に言われても聞かないでしょうから、昔の自分に教えてもらうという意味でも、事前に撤退基準を作っておくべきなんです。難しいとは思いますが、やるべきです。

特に、そういった状況で、ベンチャーキャピタルがお金を出してくれた場合、それは返さなくもいいお金ですから、さらにハマってしまいます。それで資金を使い切ったらもう終わり。撤退すれば、少しはキャッシュが残る場合もあるのですが……。

引き際が肝心ということですね。

  撤退基準にきても、オーナーはなんとか頑張ろうとしますが、持ち直すことは難しいと思います。それよりも新たな事業をやった方がいいでしょう。なぜなら、冷静に考えればわかることですが、そのまま事業を続けるということはマイナスの状態からスタートしているのと同義ですし、それならもう一度、ゼロからスタートする方が楽でしょう。

私の知り合いのオーナーも1店舗こけたら徹底して、次を攻めるということをしっかりされていらっしゃる方がいますね。実際にこのような判断ができるオーナーはどれくらいいるのでしょうか。

  1割くらいの方でしょうか。 撤退できるオーナーは強いです。もっと言うと、最初から撤退しやすくしておくことですね。つまり、投下資金を回収しやすくしておく。 会社の内部で事業を興すと切り売りしなくちゃいけないので手間が掛かりますから、最初から別会社にして投資する形にしておき、株券を売っておけばいいわけです。また、人を切り離したくなければ出向にしておく。このような形態で事業をスタートすると、撤退の意思決定が後で楽になります。 駄目だと思ったら、すぐに撤退できるのが本当の事業家ですよ。撤退しやすくするからといって意気込みが減るわけではないのです。

しっかりリスクヘッジしておくべきということですね。

 「もう駄目だ」と思う前に抜けやすくしておくことですね。公開前に投下資金を回収しておけば、この事業を止めても儲かっているわけですから、撤退しやすくなる。そういう考え方やポジショニングにいると、先に先に頭が働きますよね。そうして考え方をルーティン化していくことです。慣れている人は、自然にそういう風に行動していますからね。

例えば、うどん屋を興そうというとき、今の会社か、それとも別の会社でやろうかと考えたとします。この場合、別会社で始めておけば「このエリアは失敗したな」と思ったときに、内装を壊したり、居ぬきで客を探したりせずに、株式を売ったらそれで終わります。今なら1円でも会社が作れる時代ですし、その方がどんなに高く売れるかわかりませんよね。店舗はオーナーチェンジでもなんでもないわけですから。 持ち株会社の方が事業の切り売りがしやすいのです。わかっている人はわかっていますね。

先生のお話は実態に沿った生の情報で、我々がなかなか聞けないお話ばかりでとても参考になりました。ありがとうございます。

ありがとうございます。


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──次回、Vol.7『』へ続く

ゲスト:山本 秀一(やまもと ひでかず)
公認会計士・税理士、山本秀夫事務所所属
平成2年、日興證券(現日興コーディアル証券)に入社し、公開引受部配属にて株式公開支援事業に従事。「IIの部」をはじめとする、証券取引所への申請書類の作成と証券取引所との折衝、取引所による上場審査への回答の作成指導などを行う。平成6年、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入社、株式公開部門に配属。平成9年、同法人国内監査部門に配属。平成11年、同法人国際監査部門に配属。平成15年、同法人パブリックセクター(官公庁)部門に配属。平成15年、日本公認会計士協会地方公共団体会計専門部会委員。平成16年、総務省土地開発公社経理基準要綱調査研究会事務局、同年税理士山本秀一事務所開設。平成17年あずさ監査法人退社後、公認会計士・税理士山本秀夫事務所入所。
ナビゲーター:大橋 悦子(おおはし えつこ)
株式会社ECOM 代表取締役、296会社有限責任事業組合(296LLP)職務執行者

平成5年株式会社金沢エアシステム入社し、株式会社日本エアシステムグランドホステスに勤務。その後、平成8年、渋谷工業株式会社入社国際部配属を経て、平成12年伊藤忠商事株式会社へ入社し、輸出入業務、営業、為替予約管理全般に携わる。平成14年起業家支援サイト296会社.com (作ろう会社どっとこむ)(http://www.296kaisha.com)を立ち上げ、翌年リーダーズクリエーション株式会社(現株式会社ECOM)を設立、代表取締役に就任。平成18年296会社有限責任事業組合(296LLP)立ち上げ、296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部を同組合で職務執行者として運営。

独立開業支援を軸に、各分野のスペシャリストと業務提携し国内外法人設立支援、経理記帳支援事業、戦略の立案、各種法的相談支援、広報・PR・セミナーなどの企画・立案・運営業務の事業を幅広く行う。

小冊子「誰も教えてくれなかった起業・独立の極意」通算2万8,000部発行配布、「資本金1円で会社設立」セミナー通算15回開催延べ約500人参加、100社以上設立支援、「サラリーマン起業で年収3倍倶楽部」通算17回開催延べ2,000人参加、その他会計税務セミナー、コンサルティングコースなど開催し、毎回満員御礼にて多数の実績。

ナビゲーター:山下 健一(やました けんいち)
代表取締役、296会社有限責任事業組合(296LLP)職務執行者

平成14年、会計コンサルタント、新規開拓営業として急成長のベンチャー企業に入社。入社して3ヶ月目から営業実績表彰を多数受賞。クライアント数延べ約107社を担当し、会計経営コンサルタントとしてクライアント企業に応じた税理士・司法書士・社労士・弁護士・行政書士などのアレンジメントを行う。平成15年、クライアント企業へ経営幹部としてヘッドハンティングされ、CFO(財務管理責任者)、人事責任者に従事。新卒・中途合わせ、選考人数1,500名以上の実績を持つ。

制作提供:(株)ECOM 296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部 http://.296kaisha.com
(C)2006 ECOM Co., LTd., All rights reserved. 296会社.com

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Vol.4『上場成功の鍵は、優秀な人材確保と、
    監査法人・主幹事証券との付き合い方』

Vol.5『上場審査の鍵! 「IIの部」作成とヒアリング内容の全貌』
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