安田社長が起業したきっかけとワイキューブさんの設立の経緯について教えて頂けますか?
私が独立してワイキューブを設立したのは25歳の時、平成2年ですから16年前ですね。最初は役員が5人だけ、まだ設立前の社名を決める時にいたっては3人だけだったんです。その3人全員の名前に“Y”がついていたのでワイキューブとしました。
その5人の方とはどういった経緯で出会ったのですか?
大学時代の先輩とリクルート時代の同期でした。
最初、会社を立ち上げようと言い出したのは?
僕が言い出しましたね。というのも、25歳で会社を作ろうと決めていたんです。大学の先輩には大学時代からそういった話をしていましたし、リクルート時代の同期は「神のご掲示だ」と勝手について来たんですよ(笑)。
では、最初から会社で始める事業は決まっていたのですか?
実はまったく決まっていませんでした。決まっていたのは社名だけ。マンションの1室を借りて、社名を決めて、名刺を作って、「俺たちは経営者だから、正月くらいはゆっくりしようよ」とか言いながら1月9日に初めてマンションに集まって……。そこで初めて「さぁ、何の事業を始めようか?」ということになったんです。
そうなんですか! 売上などのことは考えなかったんですか?
その頃はまったく考えていませんでしたね、今はしっかり考えていますけど(笑)。若かったし、楽天家だったんです。とはいえ、1週間くらい経って、誰かが「来月の給料がもしかして出ないんじゃないか」と言い始めて、「これはマズイ」ということにようやくなったんです。このままでは来月の家賃も払えないという事実に気づいて、「とりあえず何かやろう」ということになり、最初に始めた事業が会社案内などのパンフレット制作でした。
それはリクルート時代に同じ事業をやっていて、すでにお客様を抱えていたからですか?
お客様はいませんでしたね。リクルートで働いていた時にも入社案内を制作して欲しいという依頼を頂いていたのですが、リクルートは粗利益率がかなり高いビジネスをやっていたため、入社案内の制作は儲からないからやるなと言われていましたから。だから、リクルートではやれなかった事業だけど、ニーズがある入社案内の制作事業をやれば売れるだろうと思って始めました。
それで売上が伸びていったのですか?
1,500万円くらいの売上が上がって、粗利益率は半分くらいありましたから、750万円くらいは残りました。これで2、3ヶ月は食べていけるなと思いましたね。
安田社長にもその日暮らしの時代もあったんですね。ところで、起業当時を振り返って、起業家の方々にこれだけはやっておいた方が良いということがあれば教えてください。
うーん、起業はやめておいた方がいいですね……っていうのは、嘘ですが(笑)。やっぱり目的意識が重要じゃないですか。社長になるとか、有名になるとか、上場させるとか、利益を出すとか、そういったこと以外での目的意識を持つことですね。
体験の中でこれがあればうまくいく、というようなことがありましたか?
意欲はあっても資金繰りが大変という起業家の人も多いのですが、何かそういう人たちが売上をスムーズにあげるためのヒントなどはありますか?
何を成し遂げないといけないのか、そのためにはどういうことをしなければいけないのか、という具体的なビジョンとスキル、その両方が必要なわけです。自分がスキルをつけるのか、もしくはスキルがないのであれば、その崇高なビジョンを説いて自分の代わりに営業ができたり、資金を集めることができる、そういう仲間を集めてこないといけない。仲間がついて来ないのであれば、その人のビジョンや熱意が足りないということですね。
そのことに気がつかれたきっかけは?
新幹線の中で突然ひらめいたんですよね。
何か突発的な出来事が新幹線の中であったんですか?
いやー、まい泉のヒレカツ弁当を食べている時に気づきました(笑)。こういったひらめきを大事にしているんですよ。
40、50歳になっても、自己顕示欲を追いかけている経営者もいらっしゃいますが……。
私はもともとそういうタイプじゃなかったんですよ。おそらく自分でも無理してやっていたんでしょう。でも、これからは私たちみたいな考え方の会社が増えてくると思いますよ。 |