設立後の消費税の免税と特定期間、2期目から課税になる条件

設立後の会社は消費税の免税が原則で、期首の資本金が1,000万円以上なら課税、特定期間の売上か給与の一方でもその額以下なら、例外がなければ2期目も免税です。
| 出すもの | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 消費税課税事業者届出書(特定期間用) | 特定期間の課税売上高と給与等支払額がともに1,000万円を超えたとき、速やかに(提出時期は「事由が生じた場合、速やかに」) | 納税地の所轄税務署長 |
| 消費税の新設法人に該当する旨の届出書 | 資本金1,000万円以上の新設法人に当たるとき、速やかに(法人設立届出書に所定の記載をして出していれば不要) | 納税地の所轄税務署長 |
| 消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書 | 特定新規設立法人に当たるとき、速やかに | 納税地を所轄する税務署長 |
| 消費税課税事業者選択届出書 | 課税事業者を選ぶ課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間から選ぶときは、その課税期間の末日まで) | 納税地の所轄税務署長 |
設立した会社は、基準期間がない最初の2期について、消費税の納税義務が原則として免除されます。ただし、期首の出資の額が大きい場合や、特定期間の売上と給与がともに基準額を超える場合は、この原則が外れます。
設立して半年の会社が、次の事業年度から課税になるかを自分で見分けられるよう、判定の順を、設立の日と決算日を入れた日付の例で整理します。事業年度ごとの判定の基準は、表でも確かめます。
届出書の期限と提出先は冒頭の表にまとめ、数値は国税庁と財務省の公式ページで確かめた内容にもとづきます。表の届出書は、課税になる場合や、課税を選ぶ場合に出すものです。
数値の確認日:2026年11月5日(国税庁・財務省の公式ページで確認)
設立後の消費税の免税と特定期間とは
設立後の消費税の免税とは、基準期間がない最初の2期の納税義務が原則として免除される仕組みで、資本金の額や特定期間の判定などが例外にあたります。
基準期間とは、事業年度が1年の法人では前々事業年度のことです。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、納税義務は原則として免除されます。
設立から最初の2期には、前々事業年度がないため基準期間がありません。例えば、1期目が12か月の会社なら、1期目と次の期の2年間が、基準期間のない期間です。
特定期間とは、免税を判定するために見る、前の事業年度の最初の6か月の期間です。例えば、設立の日が4月1日で1期目が12か月なら、2期目の判定で見る特定期間は4月1日から9月30日までで、この期間の売上と給与の合計を調べます。
免税事業者とは、納税義務が免除されている事業者です。課税事業者とは、免除されず、消費税を納める義務のある事業者を指します。
設立の翌期に消費税の免税が続くかどうかは、特定期間の売上と給与の両方が1,000万円を超えるかで決まる場面があります。判定は、資本金の額、特定期間、出資した者などの課税売上高の順に確かめます。
判定の材料は、設立の日、決算日、特定期間の売上と給与の合計と、出資の額です。いずれも設立後の書類や帳簿で確認できます。社長1人の会社も、法人であれば判定は同じで、個人事業の消費税は、この記事の対象外です。
基準期間のない最初の2期が過ぎると、3期目からは1期目の課税売上高が基準期間の売上として使われます。
資本金の額で変わる1期目の免税と課税の違い

資本金の額で変わる1期目の違いは、事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上なら課税、未満なら原則として免税になる点です。
基準期間がない法人のうち、事業年度開始の日の資本金の額が1,000万円以上の法人は、新設法人として扱われます。新設法人は、その課税期間の納税義務が免除されません。
資本金が基準の額ちょうどの会社も、以上にあたるため課税です。900万円で設立した会社は、ほかの例外に当たらなければ、1期目は免税になります。
資本金は、各期の最初の日の額で判定します。設立時に基準の額に満たなかった会社が、1期目の途中の増資で基準の額に届いても、1期目の判定は免税のままです。2期目の最初の日に1,000万円以上なら、2期目は課税になります。
設立1期目の消費税の免税は、特定期間の売上の多さとは関係なく、事業年度の最初の日の資本金の額でまず判定します。売上が大きい会社も、この点では免税になることがあります。
増資を考える会社は、設立後の消費税の免税が資本金の額で変わるため、特定期間の売上とは別に、増資の時期を確かめます。時期を決める前に、課税になる事業年度を見ておきます。
増資をした日と、事業年度の開始の日を比べると、どの事業年度から課税になるかが分かります。2期目の途中で増資しても、3期目には基準期間があるため、新設法人の判定は使いません。
設立後の事業年度ごとに、消費税の免税は、資本金の額、特定期間、出資した者などの課税売上高のそれぞれで判定されます。出資額の決め方そのものは、別の記事で扱っています。
例えば、資本金の額を1,000万円未満で設立した後、設立1期目の途中で増資したことにより資本金の額が1,000万円以上となった場合には、設立2期目は課税事業者となります。
出典:国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」(2026年11月時点)
1,000万円を超えたかを見る特定期間の判定の流れ
特定期間の判定とは、その期間の課税売上高と給与等の金額が、ともに1,000万円を超えるかを見て、超えれば次の事業年度を課税にする判定です。
判定は、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額でも行えます。国外事業者を除き、売上と給与のどちらで判定してもかまいません。
例えば、特定期間の課税売上高が1,500万円でも、支払った給与等が1,000万円を超えていなければ、給与等の金額で免税と判定できます。逆に、課税売上高が800万円なら、給与等が1,200万円でも、課税売上高で判定して免税です。
売上が1,500万円で給与等が1,200万円なら、ともに超えるため、次の事業年度から課税です。
設立後の消費税の免税は、特定期間の判定では、売上と給与のどちらか一方でも1,000万円以下なら続きます。給与等の範囲は、役員報酬の扱いも含めて税務署に確認します。
給与等で判定するときは、特定期間中に支払った給与の金額を使います。支払ったかどうかが基準になるため、月末に締めた給与の支払日を確かめます。
消費税の免税を設立後に判定する流れは、特定期間の範囲を決め、売上と給与の合計を出し、基準と比べる順です。売上と給与のどちらが少ないかを先に調べると、判定が早く終わります。
従業員を雇っていない会社でも、特定期間の売上の合計は確認します。給与等が少ない会社は、給与等で判定すると免税になりやすくなります。
特定期間の判定で、消費税の免税が設立後も続くかが決まるため、売上と給与の合計は月ごとに集計しておきます。数字が基準に近い会社は、期間が終わった後に早めに合計を確認します。
- 前事業年度(2期目の判定なら1期目)の開始の日を確かめる
- 開始の日から6か月の期間を、特定期間とする
- 特定期間の課税売上高と、支払った給与等の合計を出す
- どちらか一方が1,000万円以下なら免税、両方が超えれば課税とする
特定期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、納税義務は免除されません。
出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」(2026年11月時点)
2期目から課税になる条件は何で決まるか
2期目から課税になる主な条件は、期首の資本金が1,000万円以上であること、または1期目の特定期間の売上と給与がともに1,000万円を超えることです。
設立の日が2026年4月1日、決算日が2027年3月31日の会社では、特定期間は2026年4月1日から9月30日までです。決算日が3月31日なら、1期目は12か月です。
月の初日に設立した会社の特定期間の末日は、設立の日から6か月後の応当日の前日です。月の途中で設立した会社は税務署に確認します。
2026年4月1日から9月30日までの特定期間は、設立した会社が消費税の免税を次の事業年度も続けられるかを決めます。売上と給与のどちらかが1,000万円以下なら、次の期は免税の判定です。
売上と給与がともに基準を超えれば、次の期は課税事業者で、2027年4月1日から始まる事業年度は消費税を納める事業年度です。
課税になる会社は、消費税課税事業者届出書(特定期間用)を出します。国税庁は提出時期を「事由が生じた場合、速やかに」としており、日付の決まった期限はないため、特定期間が終わったら速やかに出します。
1期目が1年未満のときは、基準期間の課税売上高を12か月分に換算して比べます。3期目は基準期間が1期目になり、換算した額が基準を超えれば課税事業者です。
例えば、1期目が6か月で課税売上高が600万円なら、換算した額は1,200万円で、1,000万円を超えます。3期目の判定には、2期目の特定期間の売上と給与が加わります。消費税の免税を設立後も続けたい会社は、2期目の特定期間の数字も記録しておきます。
| 事業年度 | 判定の基準 | 課税になる主な場合 |
|---|---|---|
| 1期目 | 期首の資本金の額 | 資本金が1,000万円以上のとき |
| 2期目 | 期首の資本金の額と、1期目の特定期間 | 資本金が1,000万円以上か、特定期間の売上と給与がともに1,000万円を超えたとき |
| 3期目 | 1期目の課税売上高と、2期目の特定期間 | 1期目の課税売上高が1,000万円を超えたときなど |
※特定新規設立法人や適格請求書発行事業者の登録、課税事業者の選択は、この表の基準とは別に課税になる場合です。
1期目は資本金、2期目は資本金と特定期間、3期目は1期目の売上が、判定の中心になります。
1期目が7か月以下の会社の特定期間の注意点
1期目が7か月以下の会社の特定期間の注意点は、7か月以下なら特定期間がなく、7か月を超えれば設立の日から6か月が特定期間になることです。
国税庁の質疑応答事例には、設立の日から前事業年度終了日までに6か月の期間があっても、前事業年度が7か月以下なら特定期間に該当しない例が示されています。
設立の日が2026年9月1日、決算日が2027年3月31日の会社は、1期目がちょうど7か月です。この会社の1期目には、特定期間がありません。
1期目が7か月以下なら特定期間がないため、2期目が特定期間の売上で課税になることはありません。2期目の課税は、資本金の額などの別の判定で決まります。
設立の日が2026年5月1日、決算日が2027年3月31日なら、1期目は11か月で、特定期間は2026年5月1日から10月31日までです。7か月を超えるため、設立の日から6か月が特定期間になります。
設立1期目が7か月以下の会社の消費税の免税は、特定期間の有無と資本金の額などで決まります。出資者の状況も、先に確認します。
設立の日と決算日が決まっていれば、消費税の免税に特定期間の判定が必要かどうかを、1期目の月数から確かめられます。月の途中で設立した会社は、端数の数え方を税務署に確認します。
1期目が7か月以下の会社では、1期目の売上は特定期間の判定に使われません。その売上は、3期目の判定で基準期間の課税売上高として使い、1年未満なので12か月分に換算します。
特定新規設立法人に当たる会社の免税はどうなるか

特定新規設立法人は、資本金が1,000万円未満でも、出資した者などの課税売上高が5億円を超えるなどすると、免税にならない法人です。
特定新規設立法人の判定は、出資額が小さい会社に関わる判定です。判定には、出資した者などの課税売上高の金額が使われます。出資者が誰に当たるかは、国税庁の手続き案内か税務署で確かめます。
基準期間がなく、資本金が基準の額に満たない法人でも、特定要件に当たり、判定対象者の課税売上高が基準期間に相当する期間で5億円を超えると、納税義務は免除されません。
財務省の資料では、出資の割合が50%を超えるグループなどの設立が対象で、設立後の2年間に限るとされています。2024年10月1日以後に開始する課税期間からは、収入金額が50億円を超える場合も対象に加わっています。
特定新規設立法人に当たる会社は、出資額が小さくても課税事業者になり、設立後の消費税の免税は、特定期間の判定に関係なく受けられなくなります。資本金が500万円の会社でも、特定新規設立法人に当たれば、基準期間がない1期目と2期目は課税事業者です。
基準期間がない期間に限る判定のため、3期目以降は通常の判定になります。当たる会社は、消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書を速やかに出し、手続きの案内は、国税庁のサイトに掲載されています。
出資を受ける会社は、契約を結ぶ前に、出資者の課税売上高と出資の割合を確認しておきます。
設立後に消費税の免税が終わるときの特定期間の届出と期限

設立後に消費税の免税が終わるときの届出は理由ごとに異なり、特定期間の売上と給与の両方が1,000万円を超えたときは課税事業者届出書(特定期間用)です。
届出書は、特定期間の課税売上高と給与等支払額がともに1,000万円を超えた事由が生じたとき、納税地の所轄税務署長へ出します。
資本金が1,000万円以上の新設法人は、法人設立届出書に新設法人に該当する旨を書いて出せば、新設法人の届出書を改めて出す必要はありません。
設立後に消費税の免税を終える方法には、特定期間とは別に、課税事業者選択届出書を出す方法もあります。選ぶと、原則として課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻れません。
選択届出書の期限は、課税事業者を選ぶ課税期間の初日の前日までです。事業を開始した日の属する課税期間から選ぶときは、その課税期間の末日までに出せば、その課税期間から課税事業者になります。
適格請求書発行事業者の登録を受けた会社は、設立後の消費税の免税が特定期間の判定にかかわらず終わり、基準期間の課税売上高に関係なく課税になります。登録の判断は、別の記事で扱います。
設立後の届出の全体と、消費税の届出を出すかの判断は、「会社設立後に税務署へ出す届出5種類の期限と、消費税の届出を出すかの判断」で続けて確かめられます。
特定期間の数字が基準に近い、出資者が会社である、増資を予定している。このいずれかに当たるときは、届出の前に税理士へ確認する方法があります。税理士の探し方と判断の基準は、会社設立と起業時の税理士の選び方、創業期に失敗しない見極めの基準に整理されています。
よくある質問
1期目の売上が1,000万円を超えたら、1期目から課税になりますか?
1期目は免税のままです。判定は次の事業年度に向けて行います。資本金の額やインボイスの登録などの例外に当たる場合は別です。
特定期間の売上と給与が1,000万円を超えたら、すぐ課税になりますか?
課税になるのは次の事業年度からです。特定期間の結果は、その次の事業年度の納税義務の判定に使います。
特定期間の判定は、売上と給与のどちらで行いますか?
どちらで判定してもかまいません。売上と給与の片方でも1,000万円以下なら、特定期間の判定では課税になりません。国外事業者は売上で判定します。
年商1,000万円以上の見込みがある会社の方へ
