管轄の税務署は国税庁の検索で調べ、会社設立後の法人設立届出書は2か月以内に出します

柱のある役所の建物の模型と、重ねた3通の無地の封筒

会社を設立したら、本店所在地を管轄する税務署へ設立の日から2か月以内に法人設立届出書を出し、青色申告の承認申請書などもそれぞれの期限までに出します。

書類期限出す会社
法人設立届出書設立の日から2か月以内すべての会社
青色申告の承認申請書設立の日から3か月を経過した日と1期目の終了日のうち、早いほうの前日まで1期目から青色申告にする会社
給与支払事務所等の開設届出書開設から1か月以内役員報酬や給与を払う会社
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書期限なし(出した月の翌月に源泉徴収する分から対象)給与を受ける人が常時10人未満の会社
適格請求書発行事業者の登録申請書1期目の課税期間中に出せば設立日にさかのぼって登録インボイスを発行する会社

旧サイトのこのページには、全国の税務署の住所と電話番号を一覧にして載せていました。税務署は統合や移転で所在地や担当区域が変わるため、古い一覧は役に立たないどころか、間違った宛先に書類を送る原因になります。そこで一覧の掲載をやめ、自分の会社を担当する税務署を国税庁の公式ページで調べる方法と、設立直後に税務署へ出す書類を期限の早い順にまとめ直しました。税務署への届出はどれも一度きりの手続きなので、後回しにすると期限を過ぎやすくなります。登記が終わった日に、上の表で提出日を決めてしまうのが確実です。窓口に行かずに出せるe-Taxの使い方も、最後に紹介します。

担当の税務署は国税庁の検索ページで調べる

会社を担当する税務署は、登記した本店所在地で決まります。法人の納税地は原則として本店の所在地なので、実際に働いている事務所が別の場所にあっても、まずは登記上の住所で調べます。

調べ方は、国税庁の税務署の所在地などを知りたい方を開き、郵便番号を半角数字で入れるか、都道府県を選んで住所を入れるだけです。検索結果から各税務署のページに進むと、所在地や電話番号、担当区域が確認できます。

大きな市では区ごとに担当の税務署が分かれています。市の名前だけで判断せず、本店の住所で検索してください。本店を移したときは担当の税務署が変わることがあるので、そのたびに調べ直します。

設立直後に税務署へ出す書類と期限

法人設立届出書(すべての会社・2か月以内)

会社ができたことを税務署に知らせる届出です。期限は設立の日(設立登記の日)から2か月以内で、定款の写しを添付します。国税の届出では登記事項証明書の添付は要りませんが、都道府県や市区町村に出す設立届では求められます(都道府県税事務所と市区町村の調べ方で説明しています)。

資本金が1,000万円以上の会社は、法人設立届出書の所定の欄に記入すれば、消費税の新設法人に該当する旨の届出書を別に出す必要はありません。

青色申告の承認申請書(1期目から使うなら3か月以内が目安)

青色申告は、決められた方法で帳簿をつける代わりに、税金の特典を受けられる申告の方法です。代表的な特典は、赤字(欠損金)を翌期以後の黒字と差し引きできることです。

1期目から青色申告にするには、設立の日から3か月を経過した日と1期目の事業年度終了の日のうち、早いほうの前日までに出します。4月1日に設立して3月決算なら、期限は6月30日です。設立から決算日までが3か月より短い会社は、決算日の前日が期限になります。この期限を過ぎると1期目は青色申告になりません。

給与支払事務所等の開設届出書(1か月以内)

役員報酬も給与の一種なので、社長一人の会社でも報酬を払うなら、給与を支払う事務所を開いたことになります。開設から1か月以内に、給与を払う事務所の所在地を担当する税務署へ出します。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(10人未満の会社)

給与から差し引いた所得税(源泉所得税)は、原則として給与を払った月の翌月10日までに納めます。給与を受ける人が常時10人未満の会社は、この申請をすると、1月から6月の分を7月10日、7月から12月の分を翌年1月20日にまとめて納められます。

対象になるのは、申請書を出した月の翌月に源泉徴収する分からです。税務署から却下の通知がなければ、出した月の翌月末日に承認されたものとみなされます。役員報酬の支払いが始まる前に出しておくと、毎月の納付の手間を最初から減らせます。

なお国税庁は、法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出・納期の特例の申請を1つの書類で出せる「青色申告の承認申請書 兼 法人設立届出書」の記載要領を公表しています。使える条件(本店と給与支払事務所と納税地が同じ場合など)と時期は、国税庁の案内で確かめてください。

消費税とインボイスの登録

資本金1,000万円以上の会社は、1期目から消費税を納める義務があります。1,000万円未満なら1期目は原則として免除されますが、2期目は1期目の一定期間(特定期間)の課税売上高などが1,000万円を超えると課税事業者になります。

取引先からインボイス(適格請求書)を求められるなら、登録を考えます。設立した課税期間中に登録申請書を出せば、設立日にさかのぼって登録を受けられます。登録すると、本来は免除される期間でも消費税の申告が必要になります。

インボイス登録した小さな事業者の負担を軽くする2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間までの措置で、これから設立する会社は使えません。後継の3割特例は個人事業者向けです。売上にかかる消費税に業種ごとの率をかけて仕入れ分を計算する簡易課税を使うかどうかは、1期目のうちに決めます。簡易課税制度選択届出書は、設立した課税期間の終わりまでに出せば1期目から使えます。消費税の届出を出すかどうかの判断は、税務署へ出す届出と消費税の判断で詳しく説明しています。

必要な会社だけが出す届出

  • 棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書:1期目の確定申告書の提出期限まで。出さなければ法律で決められた方法になります。
  • 事前確定届出給与に関する届出書:役員に決まった時期・決まった額の賞与を出す場合。設立の日から2か月を経過する日まで。
  • 申告期限の延長の特例の申請書:定款で決算後の株主総会を遅らせる場合など。適用を受けたい事業年度の終了の日まで。

決算のあとに税務署へ出すもの

法人税・地方法人税・消費税の確定申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。2026年4月1日以後に始まる事業年度からは、防衛特別法人税も加わりました。税額は、基準法人税額から年500万円を差し引いた額に4%をかけて計算します。税額が出ない場合でも申告は必要(いわゆる零申告)とされているので、会計ソフトや申告ソフトが対応しているか確かめておきます。

税務署に出す前にそろえるもの

  • 定款の写し(法人設立届出書に添付)
  • 法人番号(登記のあとに国税庁から届く法人番号指定通知書で確かめる)
  • 役員報酬を払い始める日と、給与を受ける人数の見込み(開設届と納期の特例に書く)
  • 決算日と資本金の額(青色申告と消費税の期限を判断する)
  • 提出する書類の自分用のコピー

2025年1月から、税務署は書面で出された申告書や届出書の控えに受付印を押していません。控えは自分でコピーを取って保管し、提出日も記録しておきます。当分の間は、窓口で希望すれば受付日と税務署名を書いたリーフレットを渡してもらえ、郵送で返信用封筒を同封した場合も同じものが返送されます(国税庁の案内)。

e-Taxを使えば税務署へ行かずに済む

法人設立届出書も青色申告の承認申請書も、e-Tax(国税の電子申告・納税システム)で出せます。初めて使うときは、e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーで法人用の開始届出書を送ると、16桁の利用者識別番号がその場で通知されます。送ったあとに届く受信通知で、受付番号と受付日時を確かめられるので、控えの代わりになります。

マイナポータルの法人設立ワンストップサービスを使うと、国税・地方税・年金・労働保険などの設立後の届出をまとめてオンラインで出せます。税務署だけでなく、都道府県や市区町村、年金事務所への届出も一度に済ませたい会社に向いています。

届出の判断を税理士に任せるか

届出そのものは自分で出せますが、青色申告の期限、消費税の課税事業者になる時期、インボイスと簡易課税の選び方は、1期目の税金に直接かかわります。迷う点が多いなら、届出の段階から税理士に相談するのが近道です。相談先の探し方は税理士コンシェルジュにまとめています。設立後90日の手続き全体は設立後90日チェックリストで確認できます。

よくある質問

法人設立届出書の期限を過ぎてしまったらどうすればいいですか?

気づいた時点ですぐに出してください。期限を過ぎても提出の手続きは同じで、定款の写しを添えて担当の税務署へ出します。注意したいのは、同じ時期に期限が来る青色申告の承認申請書です。こちらは期限を過ぎると1期目に間に合わず、1期目は青色申告の特典を受けられません。設立届の遅れに気づいたら、青色申告の承認申請書と給与支払事務所等の開設届出書もあわせて確認し、まとめて出すと漏れを防げます。提出の記録として、控えのコピーも残しておきましょう。

社長一人の会社でも給与支払事務所等の開設届出書は必要ですか?

役員報酬を払うなら必要です。役員報酬も給与として扱われ、会社は報酬から所得税を差し引いて納める立場になるため、給与を支払う事務所を開いたことを開設から1か月以内に税務署へ知らせます。あわせて源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を出せば、納付を年2回にまとめられます。役員報酬をまだ払わない場合は、払い始めることが決まった時点で準備すれば間に合います。開設届と納期の特例の申請書は、同じ日に出すと手間が少なく済みます。

e-Taxを使えば税務署の窓口に一度も行かなくて済みますか?

設立直後の届出は、e-Taxで済ませられます。法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書などはe-Taxで作成して送れます。初めての場合は開始届出書をオンラインで送り、利用者識別番号を受け取ってから使います。送信後の受信通知に受付日時が表示されるので、紙の控えに受付印がもらえない今は、提出の記録としても役立ちます。電子署名の方法は、e-Taxの案内で事前に確かめてください。決算後の申告でも同じ利用者識別番号を使います。

株式会社タックスコム 代表取締役 山下健一

執筆|株式会社タックスコム 代表取締役

山下 健一

日本で唯一、税理士業界を3方向(お客様の声、帳簿の中身、事務所の内情)から見てきた税理士コンシェルジュ

税理士紹介を20年。税理士を探す社長の声を、今も聞き続けています。帳簿の中身は経理の代行で、事務所の内情は1,600名以上の所長面談で見てきました。税理士でも会計士でもない第三者だから話せる裏側を、お伝えします。

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