会社設立後の手続きを、税務署から年金事務所まで提出先ごとに一覧で確認

会社設立後の手続きの提出先は、税務署・都道府県税事務所・市区町村・年金事務所の4か所がどの会社にも共通で、従業員を雇うと労働基準監督署とハローワークが加わります。
| 提出先 | 主な届出 | 期限 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 税務署 | 法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など | 1か月〜3か月以内(届出ごと) | 全社 |
| 都道府県税事務所 | 法人設立届出書(地方税) | 自治体ごと(東京都は15日以内) | 全社 |
| 市区町村 | 法人設立届出書(地方税) | 自治体ごと | 全社(東京23区は不要) |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険の新規適用届、被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内 | 報酬を払う全社 |
| 労働基準監督署 | 労働保険の保険関係成立届、概算保険料申告書 | 成立から10日以内・50日以内 | 従業員を雇う会社 |
| ハローワーク | 雇用保険の適用事業所設置届、被保険者資格取得届 | 設置の翌日から10日以内・雇った翌月10日まで | 従業員を雇う会社 |
会社設立後の届出は、出す書類の名前よりも「どこに出すか」で整理したほうが漏れにくくなります。窓口が違えば期限の決め方も添付書類も違い、同じ法人設立届出書でも国税と地方税では期限が別々だからです。この記事では、提出先を6か所に分け、それぞれ何を・いつまでに出すのかを一覧にしました。社長1人の会社が最低限回る先と、人を雇ったときに増える先を分けてあるので、自社に関係する行だけを確認してください。最後に、オンラインでまとめて出せる法人設立ワンストップサービスと、提出前にそろえる書類も紹介します。
窓口は「全社共通の4か所」と「人を雇ったら2か所」
税金の届出は、国税を扱う税務署と、地方税を扱う都道府県・市区町村に分かれます。社会保険(健康保険と厚生年金保険)は年金事務所が窓口で、法人は社長1人でも報酬を払えば対象です。ここまでの4か所は、どの会社も設立直後に回ります。
労働保険(労災保険と雇用保険)は、従業員を雇ったときに始まる手続きです。労災保険と労働保険料の申告は労働基準監督署、雇用保険はハローワークが窓口になります。役員だけの会社では、原則としてまだ届け出る必要はありません。
税務署:国税の届出はここにまとめて出す
税務署には、法人税・源泉所得税・消費税の届出を出します。どの会社にも関係するのは、法人設立届出書(設立から2か月以内)、青色申告の承認申請書(原則3か月以内)、給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)の3つです。従業員が10人未満なら源泉所得税の納期の特例、消費税の扱いを選ぶ会社は消費税関係の届出が加わります。
提出先は、本店所在地を管轄する税務署です。期限の数え方や、どの会社が出すべきかの判断は、会社設立後に税務署へ出す届出 で1件ずつ説明しています。
都道府県税事務所と市区町村:地方税の設立届は期限が自治体ごと
期限は本店のある自治体で確かめる
法人住民税と法人事業税のために、都道府県と市区町村にも法人設立届出書を出します。国税と違い、期限は各自治体の条例で決まっています。東京都は都税事務所への提出を15日以内としており、税務署の2か月よりかなり短いので注意してください。ほかの道府県や市町村は、本店所在地の自治体のホームページで確認します。
東京23区は都税事務所だけでよい
東京23区の法人は、都の特例として市町村民税に当たる分もあわせて都民税として都税事務所に申告します。そのため、23区に本店がある会社は都税事務所に出せば足り、区役所への提出はありません。都内でも市町村に本店がある会社は、都税事務所と市町村の両方に出します。
添付書類は国税と少し違う
東京都の案内では、地方税の設立届には定款等の写しのほか、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を添付します。税務署への提出には登記事項証明書は要りません。オンライン登記情報提供制度を使う場合は、証明書の代わりに照会番号と発行年月日を書けば添付を省けます。
年金事務所:社長1人の会社でも5日以内
日本年金機構によると、法人の事業所は従業員が事業主のみの場合も含めて健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所です。新規適用届の期限は事実発生から5日以内で、設立後の手続きの中でいちばん短くなっています。
あわせて出すのは、社長などの被保険者資格取得届と、家族を扶養に入れる場合の被扶養者(異動)届です。新規適用届には登記簿謄本の原本(提出日からさかのぼって90日以内に発行されたもの)を添付します。提出先は事務センターか管轄の年金事務所で、登記上の本店と実際に仕事をしている場所が違う会社は、実際の所在地を管轄する窓口に出します。保険料や加入の判断は 社会保険・労働保険 のカテゴリーで扱っています。
労働基準監督署とハローワーク:従業員を雇った日から期限が動く
従業員を初めて雇うと、労働保険の保険関係が成立します。厚生労働省の案内では、保険関係成立届は成立した日から10日以内、その年度の概算保険料申告書は50日以内に、どちらも労働基準監督署へ出します。
雇用保険の対象になる従業員がいる場合は、ハローワークにも届け出ます。適用事業所設置届は事業所を設置した日の翌日から10日以内、従業員ごとの被保険者資格取得届は雇った日の翌月10日までです。パートやアルバイトが雇用保険の対象になるかどうかは働く時間で決まるので、採用の前に確かめてください。
法人設立ワンストップサービスでまとめて出す方法
提出先が多くて回りきれないときは、マイナポータルの法人設立ワンストップサービスが使えます。国税庁の案内では、法人設立届出・青色申告の承認申請・給与支払事務所等の開設届出・消費税の各届出・電子申告の開始届出などの国税の手続きに加え、地方税の設立届、年金事務所とハローワークへの雇用に関する届出も一度に出せます。
紙の届出書を窓口ごとに書き分ける手間が減るのが利点です。一方で、地方税の期限が短い自治体では、ワンストップで出す場合も期限は変わりません。使うかどうかにかかわらず、期限の早い届出から順に準備してください。
提出の前にそろえる書類と、出したあとの控え
多くの窓口で共通して使うのは、定款の写し、登記事項証明書、会社の印鑑、法人番号指定通知書です。登記事項証明書は年金事務所と地方税の届出、金融機関の口座開設で原本を求められるので、数通まとめて取っておくと何度も法務局へ行かずに済みます。
出した届出書は、受付印のある控えか電子申請の受付結果を必ず保管します。金融機関の審査や融資の申込み、許認可の申請で、届出を出したことの証明を求められる場面があるためです。設立から90日の流れ全体は 会社設立後にやること、届出のカテゴリーは 税務署・都道府県・市区町村への届出 で確認できます。
よくある質問
e-TaxやeLTAXは使ったほうがいいですか
e-TaxとeLTAXは、使える環境があるなら設立直後から使うのがおすすめです。e-Taxは国税、eLTAXは地方税の申告・納付・届出をオンラインで行う仕組みで、窓口に行かずに提出でき、控えもデータで残ります。e-Taxを使うには電子申告・納税等開始届出書を出しておく必要があり、法人設立ワンストップサービスでも提出できます。資本金1億円超などの大法人を除けば電子申告は義務ではありませんが、毎年の申告まで考えると早めに整えておくほうが手間が減ります。
社長1人の会社でも労働基準監督署やハローワークに届出は要りますか
社長と役員だけの会社なら、労働基準監督署とハローワークへの届出は原則として要りません。労災保険と雇用保険は雇われて働く人のための制度で、会社の役員は原則として対象外だからです。従業員やアルバイトを初めて雇った時点で、労働保険の保険関係成立届と雇用保険の適用事業所設置届が必要になります。中小企業の社長が労災保険に入りたい場合は、労働保険事務組合を通じた特別加入という仕組みがあります。年金事務所への届出は社長1人でも必要なので混同しないようにしてください。
登記上の本店と実際の事務所が違う場合、どこに出しますか
税務署と地方税の届出は登記上の本店を基準にし、年金事務所の届出は実際に仕事をしている事務所を基準にします。法人税の納税地は原則として本店所在地なので、法人設立届出書はその地域の税務署や都道府県・市区町村へ出します。一方、日本年金機構は、実際の事業所の所在地が登記と異なる場合はその所在地を管轄する窓口に出すよう案内しています。給与支払事務所等の開設届出書は、給与の支払事務を行う事務所の所在地を管轄する税務署へ出します。
