法人設立ワンストップサービスの使い方、一括で出せる届出

法人設立ワンストップサービスは、マイナポータルから税務署や自治体、年金事務所などへの設立後の届出をまとめて出せる、国のオンライン窓口です。
| 出すもの | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立の日(設立登記の日)以後2か月以内 | 税務署 |
| 青色申告の承認申請書 | 設立の日以後3か月を経過した日と、設立第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで | 税務署 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設の事実があった日から1か月以内 | 税務署 |
| 法人設立・設置届出書(地方税) | 東京都の都税事務所は設立の日以後15日以内、ほかは各自治体が定める期間内 | 都道府県・市町村 |
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 加入の要件を満たした事実の発生から5日以内 | 事務センターまたは年金事務所 |
| 保険関係成立届・雇用保険適用事業所設置届(従業員を雇ったとき) | 保険関係が成立した日・設置の日の翌日から起算して10日以内 | 労働基準監督署・公共職業安定所 |
会社を設立すると、税務署、都道府県、市町村、年金事務所、ハローワークへ、それぞれ別の様式で届出を出します。このサービスでは、必要な届出を質問に答えて洗い出し、一括で提出できます。
使うには、代表者のマイナンバーカードと、カードを読み取れるスマートフォンかパソコンが要ります。出せる届出の範囲、申請の手順、必要な機器、注意点、e-TaxとeLTAXを使うかの判断、紙や個別の電子申請との違いを順に整理します。
e-Taxは国税、eLTAXは地方税の手続をインターネットで行う仕組みです。届出ごとの期限は冒頭の表にまとめたので、出す順番を決めるときの目安にしてください。
数値の確認日:2026年10月27日(国税庁ほかの公式ページで確認)
法人設立ワンストップサービスとは
法人設立ワンストップサービスとは、会社の設立と設立後の行政手続を、マイナポータルの一つの窓口からオンラインで行える仕組みです。
マイナポータルは、マイナンバーカードを使って行政の手続をオンラインで行う国のサイトです。以前は、設立届出書のような手続を、行政機関ごとに別々に出す必要がありました。
法人設立ワンストップサービスの対象は、設立の登記の後に出す届出に加え、2021年2月26日から定款認証と設立登記、GビズIDの発行にも広がりました。GビズIDは、補助金の申請などで使う法人向けの共通の認証の仕組みです。登記の後の届出は、2020年1月20日から使えます。
サービスのトップページには「かんたん問診」があり、質問に答えると、その会社に必要な手続がリストアップされます。従業員を雇うかどうかなど、会社の状況によって出す届出は変わります。
法人設立ワンストップサービスで出しても、届出の中身や期限は紙で出す場合と変わりません。期限を過ぎた届出は、電子で出しても期限内の扱いにはならないため、期限の早いものから出します。
社長1人の会社でも、税務署や自治体への設立の届出は出します。法人の事業所は社長1人でも健康保険と厚生年金保険の適用を受けるため、年金事務所への新規適用届も対象です。新規適用届は、健康保険と厚生年金保険に加入する要件を満たした事業所が出す届出です。
国税庁は、行政機関ごとに別々だった一連の手続を、マイナポータルを使って一度で行えると案内しています。提出先が分かれていても一括で出せる点が、このサービスの利点です。
「法人設立ワンストップサービス」では、マイナポータルという一つのオンラインサービスを利用して、これらの一連の手続を一度で行うことができるようになります。
出典:国税庁「法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました」(2026年10月時点)
マイナポータルで出せる届出の範囲

マイナポータルで出せる届出の範囲は、国税と地方税の設立の届出、年金事務所やハローワークへの届出、定款認証と設立登記、GビズIDの発行です。
国税庁は、国税の関連で17の手続を一覧にしています。法人設立届出、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届出、源泉所得税の納期の特例の承認申請、消費税の各種届出、適格請求書発行事業者の登録申請などです。
同庁の一覧には、e-Taxを使い始めるときに出す電子申告・納税等開始届出も入っています。開始届出の扱いは、e-TaxとeLTAXの決め方の節で触れます。
法人設立ワンストップサービスの申請は、選んだ手続ごとに申請先の機関へ提出されます。マイナポータルにマイナンバーカードでログインすると、手続ごとの申請状況を確かめられます。
法人税では、事前確定届出給与に関する届出や、棚卸資産の評価方法と減価償却資産の償却方法の届出も一覧にあります。消費税では、課税事業者の選択、簡易課税制度の選択、申告期限の延長の届出などが並びます。
地方税は、都道府県と市町村への法人設立・設置届出書が対象です。東京都の記載要領は、提出先を所管の都税事務所長と市町村長としています。
年金事務所への新規適用届やハローワークへの届出も、雇用に関する届出として対象に入ります。従業員を雇うかどうかで、ハローワークや労働基準監督署へ出す届出の要否が変わります。
法人設立ワンストップサービスは、提出先の異なる届出を電子申請でまとめて送れる窓口のため、行政機関ごとに様式を取り寄せる手間を減らせます。どの届出を出すかは、かんたん問診の結果を見て選べます。
| 区分 | 主な手続 | 提出先 |
|---|---|---|
| 国税 | 法人設立届出・青色申告の承認申請・給与支払事務所等の開設届出・電子申告・納税等開始届出など17手続 | 税務署 |
| 地方税 | 法人設立・設置届出書 | 都道府県・市町村 |
| 社会保険・労働保険 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届、雇用保険の届出など | 年金事務所・ハローワークなど |
| 設立と認証 | 定款認証・設立登記・GビズIDの発行 | 公証役場・法務局など |
※国税の手続は国税庁「法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました」の一覧によります。提出先が異なる届出も、一つの窓口から出せます。
一括で申請する手順
一括で申請する手順は、かんたん問診、手続の選択、マイナンバーカードでの申請者の確認、申請と届出、申請状況の確認の順です。
始める前に、登記事項証明書や定款の写しなど、届出に書く会社の情報を手元にそろえます。設立後の届出は登記の内容をもとに書くため、設立の登記が終わってから進めます。設立の手続から始める場合は、定款認証と設立登記も同じ窓口から申請できます。
かんたん問診では、画面に表示される質問に順に答えます。必要な手続は、答えた内容に応じてリストアップされます。
手続の選択では、リストアップされた結果をもとに、今回申請する手続を選びます。問診を使わずに、決まっている手続を個別に選ぶこともできます。登記の申請から始める人向けには、開始までのフローチャートがサービスのトップページに用意されています。
申請者の確認では、マイナンバーカードに登録された氏名などを読み取り、申請者の情報が自動で入力されます。法人設立ワンストップサービスの自動入力は、氏名や住所を手で書き写す手間と書き間違いを減らします。
申請と届出では、選んだ手続の内容を入力し、マイナンバーカードで電子署名をして、電子申請として申請先の機関に送ります。法人設立ワンストップサービスは、この電子署名で代表者本人の申請であることを確かめる仕組みです。
申請状況の確認では、マイナポータルにマイナンバーカードでログインして受付の状況を見ます。受け取った公文書は、画面から電子署名を検証できます。
- かんたん問診に答える
- 申請・届出を行う手続を選ぶ
- マイナンバーカードで申請者を確かめる
- 申請・届出の内容を入力して提出する
- 申請状況を確かめる
電子申請に必要な機器と条件

電子申請に必要な機器と条件は、法人の代表者のマイナンバーカードと、カードに対応したスマートフォンか、ICカードリーダライタを付けたパソコンです。
国税庁は、必ず法人の代表者のマイナンバーカードを使うよう案内しています。代表者以外の人から提出された届出書については、税務署から後日問い合わせがあるとしています。
法人設立ワンストップサービスの運用時間は、メンテナンスの期間を除く24時間です。メンテナンスの期間は、サービスのホームページで案内されています。
署名に使うのは、マイナンバーカードに入った署名用電子証明書です。有効期限が切れたカードでは署名ができないため、手続の前にカードの期限を確かめます。
パソコンで使う場合は、ICカードリーダライタが要ります。スマートフォンで使う場合は、マイナンバーカードの読み取りに対応した機種かどうかを先に確かめます。
定款認証の手続について、法務省は定款案を簡易に作成できる支援ツールを公開し、公証人の面前審査を原則としてウェブ会議で行う取組みを進めています。設立の手続から使う場合は、こうした案内もサービスのトップページで確かめます。
代表者が忙しい会社では、入力を誰が進めるかを先に決めておきます。法人設立ワンストップサービスの最後の電子署名は代表者のカードで行うため、一括で送る前の内容の確認も代表者が担います。
操作が分からないときは、サービスのヘルプデスクに問い合わせられます。届出の中身の判断は、税務署などの提出先や専門家に確かめます。
法人設立ワンストップサービスの注意点

法人設立ワンストップサービスの注意点は、期限と添付書類の決まりが紙と同じであること、受付時間外の扱い、申請後の受付の確認、入力の誤り、紙との併用の管理です。
期限は冒頭の表のとおりで、電子で出しても延びません。地方税の届出は自治体ごとに期限が定められているため、本店のある自治体のホームページで確かめます。
受付時間外の扱いは、国税の手続に関わります。e-Taxの受付時間外に送った国税の届出は翌稼働日の提出になるため、期限の日の遅い時間に送ると、期限を過ぎた扱いになることがあります。e-Taxの受付時間は、e-Taxのホームページで確かめます。
年金事務所への新規適用届は、同時に出す書類が決められています。添付が足りないと受付が進まないため、日本年金機構の一覧で確かめてから送ります。同機構のホームページの「新規加入に必要な書類一覧」に、届出と一緒に出す書類が載っています。
申請した後は、マイナポータルの申請状況の確認で、手続ごとの受付の結果を見ます。法人設立ワンストップサービスの届出は、申請が受け付けられたことを確かめて完了とします。
一括で多くの届出を出すと、入力の誤りが複数の届出にまたがることがあります。会社の名称や法人番号、事業年度などは、送る前に登記の内容と照らし合わせます。
法人設立ワンストップサービスと紙を併用する場合は、どの届出をどの方法で出したかを一覧にしておきます。出し漏れと二重の提出を防ぐためです。
e-TaxとeLTAXを使うかどうかの決め方
e-TaxとeLTAXを使うかどうかの決め方は、資本金の額で電子申告が義務になるかを確かめ、義務でなければ手間と利点を比べて選ぶ順です。
事業年度開始の時の資本金の額が1億円を超える法人は、法人税と消費税の申告をe-Taxで行うことが義務です。国税庁の案内は、地方税の法人住民税と法人事業税も電子申告が義務になるとしています。
資本金が1億円以下の会社は、電子申告を選ぶかどうかを自分で決められます。e-Taxを使うと、税務署に出向かずに申告や納税などの手続をインターネットで済ませられます。
義務になるかどうかは事業年度開始の時の資本金の額で判定されるため、設立後に増資して1億円を超えた場合は、その後に始まる事業年度から対象になります。
e-Taxは電子申告・納税等開始届出を出してから使い、eLTAXは利用届出を出すと利用者IDが発行されます。eLTAXの利用届出は、地方税共同機構のeLTAXのホームページから出します。法人設立ワンストップサービスの国税の一覧には開始届出が含まれ、設立の届出と同じマイナポータルの窓口から出せます。
税理士に申告を頼む予定の会社では、税理士が会社に代わって電子申告を行う方法もあります。誰がどの手続を電子で出すかを、依頼の前に決めておきます。法人設立ワンストップサービスは、開始届出を出す時期を設立の届出とそろえられる点でも、e-Taxの準備に役立ちます。
社長1人で申告まで進める会社は、決算の時期に初めて操作すると時間がかかります。設立の届出と同じ時期にe-TaxとeLTAXの準備を済ませておくと、最初の申告で慌てずに済みます。
紙や窓口で出す場合との違い

紙や窓口で出す場合との違いは、提出先ごとに様式を用意して別々に出すか、一つの窓口から複数の提出先へ一括で送るかです。
紙で出す場合は、税務署、都道府県、市町村、年金事務所の様式をそれぞれ用意し、会社の名称や本店の所在地、事業年度を毎回書きます。提出先ごとに郵送や持参の手間がかかり、5か所に出す会社なら手続も5回に分かれます。郵送で出す場合は、提出先ごとに送り先の住所と期限を確かめます。
法人設立ワンストップサービスは、かんたん問診で出す届出を洗い出し、マイナポータル上で一括で申請できる窓口です。受付時間に合わせて役所へ出向く必要がなく、運用時間内なら夜間や休日にも手続を進められます。
一方で、マイナンバーカードと読み取りの機器がない場合や、代表者が手続に関われない場合は、電子申請より紙や各提出先の窓口で出すほうが早いこともあります。機器をそろえる時間と、届出の期限までの日数を比べて決めます。
法人設立届出書の提出先と期限は、「法人設立届出書の提出先と期限、税務署・都道府県・市区町村」で詳しく扱います。期限の早い届出から順に、出す方法を選びます。
どちらで出す場合も、届出の内容の判断は会社の責任です。青色申告や消費税の届出を出すかどうかに迷うときは、税務署や専門家に確かめてから出します。
設立から最初の数か月は、届出の期限が重なります。法人設立ワンストップサービスの申請状況の確認の画面は、出した届出の受付の結果を一か所で確かめられる点でも、紙より管理しやすい仕組みです。
よくある質問
代表者以外の人が手続をしてもよいですか?
代表者のマイナンバーカードを使うのが原則です。代表者以外から提出された国税の届出書は、税務署から後日問い合わせがあると案内されています。
夜間でも申請できますか?
メンテナンス期間を除き24時間使えます。国税の手続はe-Taxの受付時間外だと翌稼働日の提出扱いになるため、期限の日は早めに送ります。
e-TaxやeLTAXは使ったほうがよいですか?
資本金1億円以下なら使うかどうかは任意です。決算で初めて操作すると手間取りやすいため、設立の時期に準備しておくと申告を進めやすくなります。
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