会社設立の費用は株式会社と合同会社でどう違うか、内訳と目安

大きさの違う2つの白いビルの模型と、ひもで綴じた書類の束

会社設立の費用は、株式会社なら定款認証の手数料と登記で納める税だけで16万5千円からかかり、資本金と定款の作り方で増えます。

法律に基づいて払うお金は、定款を公証人に認証してもらう手数料、紙の定款に貼る収入印紙、登記を申請するときに納める税に分かれます。合同会社は定款の認証を受けないため、払う項目が1つ少なく、法定の費用は6万円からです。

3種類のうち最も金額が大きいのは登録免許税で、資本金の額と会社の形で決まります。法令と国税庁の一覧で確かめた金額をもとに、形ごとの内訳、資本金による差、定款を電子データで作ると減る額を順に整理します。

資本金や会社の印鑑など、法定の費用とは別に用意するお金も整理します。専門家に手続きを頼む場合に、どの項目が増えるかも最後に確かめます。

数値の確認日:2026年10月30日(国税庁ほかの公式ページで確認)

会社設立の費用とは

会社設立の費用とは、会社をつくる手続きで法律に基づいて払う手数料と税に、手続きに付随して出ていくお金を加えた金額です。

法律で額が定められている部分は、誰が手続きをしても同じ額になります。株式会社の定款を公証人に認証してもらう手数料、紙で作った定款の原本に貼る収入印紙、設立の登記を申請するときに国へ納める登録免許税の3種類です。

額を左右するのは、会社の形と資本金の額、定款を紙と電子データのどちらで作るかです。資本金がおよそ2,143万円までの株式会社でも、定款の作り方と資本金の組み合わせで、会社設立にかかる費用は最大で7万5千円変わります。

窓口や依頼先を変えても、法律で決まった額は下がりません。下げられるのは、定款の作り方や資本金の額など、社長が選べる条件にかかわる部分です。

資本金そのものは、出ていくお金として数えません。払い込んだお金は会社の口座に残り、設立後の仕入れや家賃の支払いに使えるお金だからです。設立の費用を集計するときは、資本金を外して考えます。

手続きに付随するお金には、会社の印鑑の作成代や、登記が終わった後に取る証明書の手数料があります。額は小さいものの、口座の開設や役所への届出で証明書を何通も使うため、まとめて見込んでおくと慌てません。

社長1人で株式会社をつくる場合と、家族と2人で合同会社をつくる場合とでは、払う項目の数から異なります。会社設立で払う費用を形ごとに分けて見ると、どこで額が増えるかが分かります。

形の選び方は、取引先に与える印象や、後から出資を受けるときの手続きも含めて比べる必要があります。選び方は次に読む記事で扱い、ここでは額の内訳と目安に絞ります。

株式会社を設立するときの費用

木の机に青い冊子と白い封筒、黒いペンが置かれている

株式会社を設立するときの費用は、登録免許税、定款認証の手数料、紙の定款に貼る収入印紙の3項目で、合計は16万5千円から24万円ほどです。会社設立にかかる費用のこの幅は、資本金がおよそ2,143万円までの場合です。

登記の税は資本金の額の1,000分の7で、計算した額が15万円に満たないときは15万円になります。例として資本金2,000万円の会社でも、0.7%を掛けると14万円で、最低額の15万円を納めます。

定款認証の手数料は、定款に書いた資本金の額で変わります。認証は、公証役場で公証人が定款の内容を確かめる手続きです。100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上なら5万円です。

資本金100万円未満の会社は、要件を満たすと手数料が1万5千円に下がります。要件は、発起人が3人以下の個人だけで、発起人が設立時の株式をすべて引き受け、取締役会を置かないことです。発起人は、定款を作り、出資して設立時の株式を引き受ける人です。

資本金が100万円未満なら、発起人が社長1人の会社と取締役会を置く会社とで、認証の手数料が1万5千円と3万円に分かれます。

会社設立にかかる費用を見積もる前に、発起人の人数と構成、取締役会を置くかを決めておくと、認証の手数料が決まります。

紙で作った定款の原本には、印紙税として4万円の収入印紙を貼ります。定款を電子データで作り、作成者が電子署名を付けたものを電子定款といい、電子定款で認証を受けると紙の原本がないため、印紙代を払いません。

3項目を足すと、資本金300万円で紙の定款を使う株式会社は、15万円と5万円と4万円で24万円です。定款を電子データで作り、資本金を90万円にして手数料の要件も満たす会社設立なら、法定の費用は16万5千円まで下がります。

合同会社の設立で払う費用の目安

合同会社の設立で払う費用の目安は、資本金がおよそ857万円までなら、登録免許税と紙の定款に貼る収入印紙を合わせて6万円から10万円です。

会社法は合同会社に定款の認証を求めていないため、公証役場へ行く手間も手数料もかかりません。定款は、社員になる人が全員で作り、全員が署名か記名押印をして仕上げます。ここでいう社員は、出資して会社の持ち主になる人を指し、雇われて働く従業員とは別の意味です。

登記の税の計算は株式会社と同じ資本金の1,000分の7で、計算した額が6万円に満たないときは6万円を納めます。計算の例として、資本金850万円の会社は5万9,500円となり、最低額の6万円に届きません。

紙の定款には4万円の収入印紙が要り、電子定款にすれば要りません。家族2人で設立する合同会社でも、電子定款で作れば、会社設立に払う法定の費用は6万円の登記の税だけになります。

定款の作り方をそろえて比べると、資本金857万円までの会社なら、法定の費用の差は10万5千円から14万円です。紙の定款を使い、資本金を300万円にした場合、株式会社は24万円、合同会社は10万円になります。

差額の多くは登録免許税の最低額の違いで、残りは定款認証の手数料です。会社設立にかかる費用で比べると合同会社のほうが安く、定款の作り方が同じなら、資本金がおよそ2,143万円を超えたところで差は認証の手数料の5万円になります。

形を決める基準は費用の差のほかにもあり、出資を受ける予定や役員の人数で向き不向きが分かれます。法定の費用は形を選ぶ材料の1つとして、ほかの条件と比べて見ます。

定款に書く内容は、商号、目的、本店の所在地、社員の氏名と住所、出資の額などです。合同会社の設立では、公証役場の予約や認証の日程の調整が要りません。定款ができたら出資の払込みを済ませ、そのまま登記の申請へ進めます。

株式会社と合同会社の法定費用の比較
費用の項目株式会社合同会社
登録免許税資本金の1,000分の7(最低15万円)資本金の1,000分の7(最低6万円)
定款認証の手数料1万5千円から5万円(資本金の額と発起人の要件で決まる)認証を受けないためかからない
紙の定款の収入印紙4万円(電子定款ならかからない)4万円(電子定款ならかからない)
法定費用の合計の目安16万5千円から24万円6万円から10万円

※登録免許税は登録免許税法の別表第一、定款認証の手数料は公証人手数料令第35条、収入印紙は印紙税法の別表第一第6号によります。合計の目安は、株式会社は資本金がおよそ2,143万円まで、合同会社はおよそ857万円までの場合です。差の大部分は、登録免許税の最低額(15万円と6万円)から生じます。

登録免許税は資本金でいくら変わるか

木の机に高さの違う金色のコインの山と白い書類が置かれている

登録免許税は、資本金の額に1,000分の7を掛けた額が最低額を超えたときだけ増え、超えるまでは最低額のままです。

株式会社は15万円、合同会社は6万円が最低額です。株式会社なら資本金がおよそ2,143万円、合同会社ならおよそ857万円を超えたところから、税額が資本金に比例して増えていきます。

資本金3,000万円の株式会社は21万円を納め、会社設立で払う費用は最低額のときより6万円増えます。合同会社で資本金1,000万円にすると7万円で、最低額の6万円との差は1万円です。

資本金を数百万円にする会社なら、どちらの形でも最低額を納めることになります。資本金の額を決めるときは、登記の税の額より、設立後の運転資金が足りるかで判断するほうが誤りにくくなります。

資本金の額は、設立した最初の事業年度の消費税の扱いにも関わります。資本金の決め方は別の記事で扱い、ここでは登記の税への影響だけを押さえます。

会社設立にかかる費用の中で最も大きい登録免許税は、資本金を小さくしても最低額より下がりません。額を減らす手段は、定款の作り方と、認証の手数料の要件を満たすかどうかのほうにあります。電子定款を使うか、手数料が1万5千円になる要件を満たすかで、数万円の差が出ます。

例えば資本金500万円で始める株式会社と、資本金100万円で始める株式会社は、どちらも15万円を納めます。違いが出るのは定款認証の手数料で、前者は5万円、後者は4万円です。

資本金を後から増やすときは、増やした額の1,000分の7(3万円に満たないときは3万円)を登録免許税として納めます。増資の登記は設立の登記とは別の申請で、申請のたびにこの税がかかります。

電子定款にすると減る費用はいくらか

電子定款にすると減る費用は、紙の定款の原本に貼る4万円の収入印紙で、株式会社と合同会社のどちらでも同じ額です。

電子定款では、紙の定款に押す印鑑の代わりを、作成者の電子署名が務めます。紙に印刷して押印する作業がなく、原本の紙も作らないため、収入印紙を貼りません。

国税庁の一覧は、印紙税がかかる定款を、設立のときに作る定款の原本に限っています。下の引用がその注記で、電子定款には印紙を貼る紙の原本がありません。

電子定款にすると会社設立の費用は4万円減りますが、電子署名の準備に手間がかかります。電子署名の環境が既にある会社なら、電子定款を選ぶ意味は大きくなります。

電子署名を付けるには、署名用電子証明書が入ったマイナンバーカードなどと、読み取りの機器や署名のソフトが要ります。初めて使う場合は、機器の用意と操作の確認に時間がかかります。

株式会社では、作った電子定款を公証人へオンラインで送り、認証を受けます。手数料の額は紙の定款と変わらず、電子定款で下がるのは印紙代の4万円に限られます。

合同会社は定款の認証がないため、電子定款を作って登記の申請に添えれば足ります。会社設立にかかる費用を最も低くできるのは、合同会社を電子定款で設立する組み合わせです。

紙の定款で進めるか電子定款にするかは、印紙代の4万円と、機器の購入や専門家への依頼にかかる額を比べて決めます。マイナンバーカードを持っていても、読み取りの機器やソフトが手元にない場合は、その用意も費用に入れて比べます。

株式会社、合名会社、合資会社、合同会社または相互会社の設立のときに作成される定款の原本に限ります。

出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」(2026年10月時点)

法定費用のほかに用意するお金の一覧

木の机に黒い印鑑が並び、赤い朱肉が置かれている

法定費用のほかに用意するお金の一覧は、資本金、会社の印鑑の作成代、証明書の交付手数料、定款の謄本の手数料の4種類です。謄本は、公証役場が保管する定款の原本と同じ内容を写した書面です。

資本金は、発起人や社員が会社に出すお金で、手数料や税と違い、設立後も会社の財産として残ります。払い込んだ口座の記録は、登記の申請で払込みを証明する書類に使います。

代表者印は、登記を書面で申請するときに法務局へ届け出る印鑑です。オンラインで申請する場合は届出が任意ですが、口座の開設や契約で押印を求められることがあります。

印鑑の作成代は、材質や本数で幅があり、法律で定めた額はありません。会社設立にかかる費用を見積もるときは、代表者印のほかに銀行印や角印を作るかを先に決めます。

証明書は、登記が終わった後に法務局で取ります。登記事項証明書は書面で請求すると1通600円、オンラインで請求して窓口で受け取ると490円で、印鑑証明書は書面で500円です。会社の印鑑を法務局に届け出た会社だけが、この証明書を取れます。

税務署や年金事務所への届出、口座の開設、取引先との契約で、証明書の提出を求められます。必要な通数は届け出る先の数で決まるため、最初に何通取るかを数えておくと、取り直しの手数料と手間を減らせます。

登記事項証明書は、会社の商号や本店、役員など、登記した内容を記した書面です。口座の開設や契約の相手から、発行から日の浅いものを求められる場合もあるため、取る時期も考えておきます。

定款の謄本は、公証役場で認証を受けた後に交付を受け、枚数に応じた手数料を払います。会社設立にかかる費用の総額を出すときは、謄本や証明書の細かな手数料も漏れなく項目に入れておきます。

  • 資本金(会社の口座に残り、設立後の支払いに使う)
  • 会社の印鑑の作成代(代表者印・銀行印・角印など)
  • 登記事項証明書と印鑑証明書の交付手数料
  • 定款の謄本の交付手数料(枚数に応じてかかる)

専門家に頼むと増える費用

専門家に頼むと増える費用は、手続きを代わりに行う人への報酬で、法定の費用はそれとは別にそのままかかります。

登記の申請の代理は司法書士の業務で、社会保険の届出の代行は社会保険労務士、税金の届出の相談は税理士が受けます。頼む範囲が広がるほど、報酬の項目も増えます。

社会保険労務士への依頼は、従業員を雇う予定や社会保険の手続きの量で、要るかどうかが分かれます。社長1人の会社でも、役員報酬を払えば社会保険の加入の手続きが要ります。

電子定款の作成を専門家に頼むと、社長が機器をそろえなくても印紙代の4万円を減らせます。報酬と印紙代を差し引きして、専門家に頼んだときの会社設立の費用を、自分で紙の定款を作る場合と比べられます。

見積もりを取るときは、報酬と法定の費用が分けて書かれているかを確かめます。登録免許税や認証の手数料を含む総額だけを見ると、報酬の額が分からず、比べる基準がそろいません。交通費や郵送代などの実費が別に書かれているかも、あわせて確かめます。

設立の後も、記帳や決算を税理士に頼むと毎月の支払いが続きます。顧問料は会社設立の費用とは別に続く出費として、設立後の資金繰りに入れておきます。顧問料の相場は、税理士の顧問料相場と年商別の料金目安、費用を下げる方法まとめで確かめられます。

手続きの順番は、会社設立の流れ、準備から登記・設立後の届出までの順番で確かめられます。自分で進めるか頼むかは、法定の費用と報酬の合計に、社長が手続きに使える時間を加えて決めます。

会社設立にかかる費用を自分で計算するときは、上の比較表で法定の費用を出し、印鑑や証明書の額を足してから、専門家の見積もりと比べます。表の額は法令で決まった値なので、見積もりに書かれた法定の費用と一致するかも確かめられます。

よくある質問

会社設立の費用を最も安くできる形はどれですか?

合同会社を電子定款で作る形です。法定の費用は登録免許税の6万円が中心になり、認証の手数料も印紙代も払いません。

資本金は設立の費用に含まれますか?

含まれません。資本金は会社の財産として口座に残り、事業の支払いに使えます。

資本金を増やすと登録免許税も増えますか?

一定の額を超えると増えます。株式会社はおよそ2,143万円、合同会社はおよそ857万円を超えると、資本金の1,000分の7が最低額を上回ります。

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株式会社タックスコム 代表取締役 山下健一

執筆|株式会社タックスコム 代表取締役

山下 健一

日本で唯一、税理士業界を3方向(お客様の声、帳簿の中身、事務所の内情)から見てきた税理士コンシェルジュ

税理士紹介を20年。税理士を探す社長の声を、今も聞き続けています。帳簿の中身は経理の代行で、事務所の内情は1,600名以上の所長面談で見てきました。税理士でも会計士でもない第三者だから話せる裏側を、お伝えします。

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