事前確定届出給与を設立1期目に出す期限と、役員賞与の決め方

設立1期目の事前確定届出給与の役員賞与は、設立時の定めなら設立の日以後2か月、設立後の決議なら決議の日から1か月を経過する日までに届け出ます。
| 出すもの | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 事前確定届出給与に関する届出書(設立の時に開始する職務について定めたとき) | 設立の日以後2か月を経過する日 | 納税地の所轄税務署長 |
| 事前確定届出給与に関する届出書(株主総会などの決議で定めたとき) | 決議をした日(職務の執行の開始が後ならその日)から1か月を経過する日。ただし、その日が会計期間開始の日から4か月を経過する日より後なら、4か月を経過する日 | 納税地の所轄税務署長 |
| 事前確定届出給与に関する変更届出書(臨時改定事由で定めを改めたとき) | 上の期限と、臨時改定事由が生じた日から1か月を経過する日のうち、遅い日 | 納税地の所轄税務署長 |
設立して最初の決算が近づくと、役員に賞与を出せるのか、出すなら何を届け出るのかが気になってきます。決算の月にあわてないよう、先に全体像を押さえます。賞与を損金にするには、原則として、額と日をあらかじめ税務署へ届け出る手続きが必要です。
届出の期限は、設立のときに決める賞与か、設立後に決議する賞与かで変わります。毎月払いの役員報酬とは、扱いが別になります。
届出書の提出先、支給日の決め方、届出どおりに支給できなかったときの注意点を、国税庁の公式ページで確認した内容をもとに順に整理します。社長1人の会社でも、手順は同じです。
数値の確認日:2026年11月7日(国税庁の公式ページで確認)
設立1期目の事前確定届出給与とは何か
事前確定届出給与とは、役員の職務について、あらかじめ決めた時期に決めた額を支給すると税務署へ届け出て支払う給与です。国税庁は、定期同額給与にも業績連動給与にも当たらない給与として説明しています。
設立1期目の事前確定届出給与は、設立した会社が最初の事業年度に役員賞与を出すときに使う仕組みです。役員賞与とは、毎月の役員報酬とは別に、決まった日に支払う役員への給与を指します。
役員給与は、定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のいずれかに当たらないと、損金の額に算入されません。社員の賞与と同じ感覚で決算前に払うと、会社の利益から差し引けなくなる場合があります。
設立1期目に事前確定届出給与を選ぶ利点は、決算の利益の見込みに合わせて、賞与の額と時期を前もって決められる点です。反対に、届出を出した額は、利益が思ったほど出ない年でも支払う約束になります。
設立1期目の会社は、最初の決算まで日が浅く、利益の見込みも固まりにくい時期にあります。そのため、賞与を出すかどうか、出すなら額と日をどうするかを、届出の期限から逆算して決めます。
支給する額と日は、届出をした内容のとおりに守ることが前提です。業績が良かったので増やす、悪かったので減らすといった調整は、支給の直前になってからは自由にできません。
事前確定届出給与は、個々の役員の給与について判断されます。役員が複数いる会社は、賞与を出す役員ごとに、額と日を決めて届け出ます。
法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。
出典:国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」(2026年11月時点)
役員賞与を損金にするための条件

役員賞与を損金にするための条件は、決めた額と時期で支給することと、事前確定届出給与に関する届出をしていることです。
国税庁は、事前確定届出給与の要件として、定期同額給与と業績連動給与のいずれにも当たらないことを挙げています。そのうえで、原則として届出をしていることが必要です。
ただし、不相当に高額な部分は、届出をしていても損金に入りません。損金とは、会社の利益から差し引ける費用のことです。
設立1期目の事前確定届出給与でも、届出が要らない例外は限られています。定期給与を支給しない役員に、同族会社に該当しない法人が金銭で支給する給与などが、その例外です。
例外に当たるかどうかは、会社が同族会社かどうかで変わります。
株主が社長1人や家族だけの会社は、同族会社に当たることが多く、届出の例外には入りにくくなります。例外を当てにせず、届出を出す前提で準備を進めます。
株式や新株予約権で支給するときは、市場価格のある株式などの要件も加わります。現金で支給する会社は、届出の有無と、定めどおりに支給したかが中心の確認点です。
事前確定届出給与を設立1期目から使う会社は、決議した内容を残す書類も整えておきます。議事録に役員ごとの支給日と金額が読み取れる形で書いておくと、届出書の記載と見比べやすくなります。
役員賞与の届出は、賞与を受け取る役員ごとに書類を分けて整えます。役員の名前、職務、支給日、金額を一覧にしておくと、届出書の記載の取り違えが起きにくくなります。
賞与のほかに毎月の報酬がある役員も、賞与の部分は届出の対象です。月々の報酬の扱いとは切り分けて、賞与だけの定めを書類に起こします。
期限は設立の日以後2か月か決議の日から1か月か
期限は、設立の時に開始する職務の定めなら設立の日以後2か月を経過する日で、設立後の決議なら原則として決議の日から1か月を経過する日です。
設立1期目の事前確定届出給与で、設立の時から就任する役員の役員賞与を定めるなら、設立の日以後2か月を経過する日が期限になります。国税庁の手続案内に、新設法人の区分として書かれています。
設立後に株主総会で決議して定めるときは、決議の日から1か月を経過する日が原則の期限です。ただし、その日が会計期間開始の日から4か月を経過する日より後なら、4か月を経過する日が期限になります。
設立1期目は、設立の日が会計期間の開始の日です。設立から4か月を過ぎてから決議した定めは、1期目の事前確定届出給与としては届け出られません。その場合は1期目の賞与を見送り、次の期の定めを期首に近い時期に決議します。
期限を過ぎると、事前確定届出給与として扱われない可能性があるため、提出の日を前もって決めておきます。
設立の日は、設立登記の日です。登記の日を確かめ、そこから2か月を経過する日を、手帳やカレンダーに書き入れておきます。
設立1期目の事前確定届出給与は、期限が短いため、支給日の前ではなく決議の直後に届出書を出します。賞与の支給日が決算月でも、設立の時に開始する職務の定めなら、期限は設立の日から数えます。
日数の数え方に迷うときは、設立登記の日と決議の日を紙に書き出します。書き出した日から2か月か1か月を数え、提出の締めの日を一つに絞ってから、出す予定日を決めます。
届出書の提出から支給までの手順
手順は、役員ごとに支給する額と日を決議し、届出書を出し、決めたとおりに支払う流れです。
最初に、役員賞与を出すかどうかを決め、株主総会などで、役員ごとの支給日と金額を決議します。社長1人の会社でも、決議した内容を議事録に残します。
次に、事前確定届出給与に関する届出書を、納税地の所轄税務署長へ出します。設立1期目の事前確定届出給与は、期限までに出せば足りるので、先に決議の内容を固めてから書き始めます。
届出書には、付表1に金銭で交付する分の状況を書きます。株式で交付するときは付表2を使うと、国税庁の案内に載っています。
事前確定届出給与を設立1期目に使うなら、決議の日と届出書を出す日を、同じ予定表に書き入れておきます。株主総会の日より先に、期限の日を確かめておくと安心です。
電子申請を使う会社は、届出書のデータを送る前に、付表の金額と日が決議の内容と同じかを確かめます。紙で出す会社は、控えにも収受印をもらいます。
届出が済んだら、決めた日に決めた額を支払います。会計ソフトには、役員賞与の支給日と金額をあらかじめ入れておくと、支払いの漏れを防げます。
設立1期目の事前確定届出給与は、決議の議事録の日付と届出書の日付に矛盾がないかを確かめると、手続きの途中で止まりにくくなります。
届出書は、税務署の窓口に出す方法のほかに、郵送や電子申請でも出せます。郵送のときは、控えを返してもらうための返信用封筒を同封します。
- 役員賞与を出すかどうかを決め、役員ごとの支給日と金額を株主総会などで決議する
- 期限の日までに、事前確定届出給与に関する届出書を納税地の所轄税務署長へ出す
- 届出書の控えと決議の議事録を保管する
- 届出書に書いた日に、書いた額のとおりに支払う
毎月支給する定期同額給与との違い

毎月支給する定期同額給与は、支給時期が1か月以下の一定の期間ごとで、各回の額が同じ給与です。
毎月の額を変えない点が、定期同額給与の特徴です。事前確定届出給与は、年に1回や2回といった所定の時期に、確定した額を払う点で異なります。
設立1期目の事前確定届出給与は、毎月の役員報酬を定期同額給与で出す会社が、役員賞与を足すときの選択肢になります。賞与を出さない会社は、この届出をしなくても構いません。
定期同額給与は、各回の額が同じことが条件です。賞与を足す会社は、毎月の給与を定期同額給与のまま保ち、賞与だけを事前確定届出給与として分けて届け出ます。
設立1期目の事前確定届出給与は、賞与の額と日を先に決めて届け出る約束なので、毎月の報酬とは別に管理します。
毎月の役員報酬の額は、設立から3か月以内に決める手続きが別にあります。この記事では、賞与の届出に話を絞ります。
期中の見直しや2期目以降の扱いは、この記事の範囲を超えます。判断が必要なときは、税理士へ確認します。
賞与は毎月の報酬とは別の約束です。設立1期目の事前確定届出給与では、賞与の額を報酬に上乗せして考えず、賞与だけを届出の対象にします。
定期同額給与の額を途中で変えると、同額という条件を満たさなくなることがあります。賞与を足す計画があるなら、毎月の額は最初に落ち着いて決めます。
月々の報酬と賞与の合計が、会社の利益や資金に見合っているかも見ます。合計が大きいと、社会保険料などの負担も増えるため、全体で考えます。
役員賞与の金額と支給日の決め方
役員賞与の金額と支給日は、会社の資金繰りと利益の見込みをもとに、届出の前に決める項目です。
金額は、最初の決算の見込み利益と、手元の資金から考えます。設例として、見込み利益が600万円の会社が、役員1人に120万円を出す計画を立てます。
設立1期目の事前確定届出給与では、120万円を6月と12月に60万円ずつ出す形も、12月に1回で出す形も選べます。支給日ごとに、届出書へ金額を書きます。
設例で、年間の賞与を120万円にした会社は、年2回に分けても、年1回にまとめても、合計額は同じです。資金に余裕がない時期を避け、支給日を決めます。
支給日は、資金を用意できる日に決めます。届出書に書いた支給日と実際の支払日がずれないようにします。
事前確定届出給与を設立1期目に出す会社は、決算の直前に利益が見込みより増えても、届出した額を変えられません。増えた分の賞与は、翌期以降の届出で検討します。
届出書の記載額と異なる金額を支給した役員の分は、損金に入らなくなる可能性があります。資金に不安があるなら、額を控えめに決めるか、役員賞与を出さない選択も検討します。
役員賞与の額は、同じ役員の月々の報酬との釣り合いも考えて決めます。役員賞与だけが大きいと、利益が出なかった年に資金が苦しくなります。
支給日が休日に当たるときは、前もって支払いができる日に決めておきます。金融機関の休業日だと、振込が届出の日に間に合わないことがあります。
| 支給の形 | 支給日と金額 | 届出書の書き方 |
|---|---|---|
| 年2回に分ける | 6月に60万円、12月に60万円 | 支給日ごとに60万円と書く |
| 年1回にまとめる | 12月に120万円 | 12月の支給日に120万円と書く |
※金額と月は設例です。実際の額と日は、会社の資金と決議の内容で決まります。
支給の形が違っても、届出書には支給日ごとの金額を書きます。
届出どおりに支給しなかったときの注意点

届出どおりに支給しなかったときは、定めどおりの支給と認められず、その役員の給与が損金に入らない可能性があります。
事前確定届出給与は、設立1期目でも、届出の額と実際の支給額が食い違うと、その役員の給与が損金に入らなくなる可能性があります。支払う前に、届出書の写しと金額を突き合わせます。
設立1期目に事前確定届出給与を使った会社は、支給の前に、届出書の写し、議事録、振込の予定額を1枚の確認表にまとめます。支払いの当日に、額と日が届出のとおりかを見比べます。
国税庁の質疑応答事例には、届出書の記載額と異なる金額を特定の役員に支給した場合の取扱いがあります。同額を支給した他の役員の給与は、損金算入の対象になると回答されています。
支給日に資金が足りず、届出の額を払えないときは、早めに税務署か税理士へ相談します。判断を先送りすると、決算の直前になって選べる方法が減ります。
設立1期目の事前確定届出給与は、届出どおりに払えたかを決算前に点検しておくと、申告の直前にあわてずに済みます。
届出の後に事情が変わり、額や日を改めたいときは、臨時改定事由に当たるかを確かめます。当たらない変更を届け出ないまま行うと、定めどおりの支給と認められない可能性があります。
役員賞与の支給が済んだら、振込の記録と通帳の写しを、届出書の控えと一緒に保管します。
期中の変更や2期目以降の見直しは、役員報酬とは?3種類の役員報酬と決め方・注意点を徹底解説で確かめられます。
届出書に定める役員賞与とは別に、毎月の役員報酬を決める手続きもあります。続けて知りたいときは、「設立後の役員報酬はいつまでに決める?設立から3か月の期限と議事録の作り方」で確かめられます。
したがって、A役員に対して当該届出書の記載額と異なる金額の役員給与を支給したとしても、そのことを理由として、A役員以外の他の役員に対して支給した役員給与が損金不算入になることはありません。
出典:国税庁「「事前確定届出給与に関する届出書」を提出している法人が特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い」(2026年11月時点)
よくある質問
設立1期目の役員賞与の届出は、いつまでに出しますか?
設立時に定めるなら設立の日以後2か月を経過する日までです。設立後の決議なら、決議の日から1か月を経過する日が原則で、会計期間開始から4か月が上限です。
事前確定届出給与の届出書は、どこへ出しますか?
納税地の所轄税務署長へ出します。届出書の付表1に、金銭で交付する分の状況を書きます。
毎月同額の役員報酬にも、この届出は必要ですか?
毎月同額の定期同額給与には、この届出は不要です。役員賞与のように所定の時期に確定額を払う給与が、届出の対象です。
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