トレンダーズ経沢香保子氏 Vol.1 あなたの会社は誰も知らない、無名の会社の効果的なPR戦略

この記事は2006年に掲載した起業家インタビューです。制度や数値は掲載当時のものです。最新の手続きは各カテゴリーの記事をご覧ください。

話題のカリスマ社長から学べ!経営の才覚

ゲスト:トレンダーズ株式会社 代表取締役/経沢 香保子(つねざわ かほこ)

株式会社リクルートに入社後、、創業間もない楽天株式会社へ移り、楽天大学などさまざまな新規事業開発に携わる。2000年、女性に特化したマーケティングサービスを提供するトレンダーズ株式会社を設立、代表取締役に就任。

新会社法が施行され、誰でも簡単に法人設立できるようになりました。しかしせっかく会社を作ったからといっても、あなたの会社を知っているのは家族や知人友人だけ。起業当初というのは、無名であるということだけで、なかなか信用してもれえず取引につながらないということがあります。そこで、女性に特化したマーケティング事業で起業し、数々の事業部を立ち上げ成功を収めたトレンダーズ株式会社、代表取締役である経沢香保子さんに会社の認知や信頼度をあげるための秘訣を伺った。

1.無名の会社が広告費ゼロで知名度アップ

大橋:トレンダーズといえば、現在では女性に特化したマーケティング会社というイメージが定着している有名な会社です。しかし、どのような会社も独立して会社を設立したばかりの時は、自分の会社のことを知っているのは友人、知人と家族ぐらいのもので、どんなに商品やサービスのクオリティが良くて自信があっても、お客様にはなかなか信用していただけない現状があると聞きます。経沢社長も起業したばかりの頃に会社の認知度が低いことでご苦労されたご経験はありますか?

経沢:今は順調に事業が進んでいる印象があるかと思いますが、設立当初は「会社の知名度がないことがこれほど惨めなものなのか」と痛切に感じることがしばしばありました。私としては、他にはないめずらしいサービスであったり、世の中に必要とされるべき良いサービスを提供している、それも適正価格以下で提供しているという確信があるのに、思うように売れないということがありました。

大橋:具体的にはどのようなことが……

経沢:会社のことをゼロからひとつひとつ説明しないとなかなか理解してもらえない。知人や紹介以外からの取引となると時間と労力が掛かる。また、お客様が大企業の場合、知らず知らずのうちに弱い立場に立たされてしまう……などということがありましたね。

名前の知られていない会社やサービスは、まず認知されることが大変ですし、認知されたとしても次に信用してもらうことが大変です。そして信用されたとしても取引してもらうまでがこれまた大変……。何か世の中に新しい物を生み出すことができ、それが非常にいいものだと自分が自信をもって提供していたとしても、普及させるまでには自分が思っているよりもずっとずっと大変なんだ……と設立当初は苦労の連続でしたね。

自分の扱っている商品が、世の中に対しての認知度が低いというだけ理由で、断わられる以前に相手にもしてもらえていない……そんな思いで悔しくて悔しくて仕方がありませんでした。

大橋:サラリーマン時代と比べて起業されたときの営業活動はどういう違いがありましたか?

経沢:実際、リクルート時代はお客様にニーズがあれば簡単に受注を受けることができました。でも、独立したころは「トレンダーズ?知らないし、いらない」という感じで、いい商品やサービスがあるから売れるというのは無名の会社では間違った考え方で、ある程度会社を認知してもらい、また信頼してもらわないと売れないのだと痛感しました。

大橋:なるほど、経沢社長も他の起業家と同じご苦労をされていたのですね。そんな状況下で現在のようなトレンダーズの認知度や、多くの方から信頼される企業に発展することができたのには何か秘訣があるのですか?

経沢:まず「自分の会社は無名だけれども信頼を上げるにはどうしたらいいのか?」「一人でも多くの人に知ってもらうには何をしたらいいのか?」「新しいお客さんと取引をたくさんするのはどうしたらいいのか?」……そんなことを毎日、毎日考えていましたね。

そこで自分の会社を知ってもらうためには広告だと考え、広告を打ってみましたが、まったく反応がなく失敗に終わりました。この失敗でわかったことは、小さい会社にとって広告はあまり意味がないということでした。有名な会社であれば効果はあったのかもしれませんが、名もない会社が広告を何回打っても、誰も見向きもしません。

そんなときに、ある人からの紹介で雑誌の取材を頼まれました。そして、その雑誌に掲載されると記事を読んだ方から「ぜひ会いたい」とお電話を頂きました。それまではこちらから会いに行っても見向きもされなかったのに、雑誌に掲載されたことでトレンダーズの信用が一気に上がりました。それからはお客様からの問い合わせが多くなりましたね。

大橋:確かに雑誌に掲載されている広告を見たときに、いい商品やサービスだと思って購入することもありますけど、自分で自分のことをアピールしていると思ってしまう、たとえ優れた商品でも「本当にいいのかな?」と疑ってしまうことがあります。でも、第三者が損得勘定抜きで客観的に判断した商品・サービスの記事を雑誌で読んだら、同じ商品でも迷わず買っちゃいますね。

2.会社の根幹がしっかりしていなければ取材は逆効果

大橋:ところでトレンダーズでは自社の実体験をベースにプレスリリース配信のサービスをされていらっしゃいますが、マスコミの方々に取材依頼される秘訣は何でしょうか?

経沢:そのことについてお話させていただく前に、最初に皆さんにお伝えしたいのは「マスコミに取り上げてもらえばうまくいく」「マスコミを利用すれば商品が売れる」「取材を受ければ有名になれる」と勘違いされる方が多いということです。

それよりもまず大切なことは、自社の商品・サービスに価値があり、会社の質がしっかりしていることが大前提になります。会社の内容や根幹がしっかりしている企業でなければ、記事を読んでお問い合わせいただいたお客様の期待やマスコミの方々の信頼を裏切ってしまいますから、まずは自社の土台をしっかり築き上げることが重要だということを皆さんにはご理解いただきたいですね。

大橋:そうですよね。そもそも提供する商品・サービスのクオリティが低かったり、会社の内容や体制や応対などがお粗末であれば、本末転倒ですから。では、自社の土台をしっかり築き上げた上で、マスコミの方々に取材依頼されるための秘訣はなんでしょうか?

経沢:弊社でもいろいろな企業のプレスリリース配信のサービスを含め、広報活動のお手伝いをさせていただいていますが、こちらがいくら掲載してほしいと思っても記事を書く記者が価値があると思っていない限り取材には来ていただけません。

“価値がある記事”というのはニュース性、新規性、もしくはこんなものが巷で流行っている、流行りそう、こんなおもしろいものがあるなどという“特集”があるかということです。自社の情報を取り上げてもらう場合、商品・サービス、会社のおもしろい仕組み、社長のキャラクターなど、いずれにしても、時代の流れに合わせ、たくさんの人がおもしろいと感じることを客観的にマスコミに伝えていくことが大切になってきます。

大橋:具体的にトレンダーズさんで成功した事例などはありますか?

経沢:女性起業塾を始めたばかりの頃は女性で起業している人はまだ少なく、珍しさを狙い、プレスリリースで“日本初”“若い世代”ということを強調したことがありました。また、その時には“女性の起業”をブームにすることも狙っていたので「スチュワーデス、女子アナの次は女性起業家の時代」というようなキャッチコピーをつけたところ、多くのマスコミで取り上げていただけましたね。

大橋:なるほど、経沢社長のように、少し時代の先を読んでニュースになるような世の中に必要とされている商品・サービスを提供することが重要になってくるのですね。

株式会社タックスコム 代表取締役 山下健一

執筆|株式会社タックスコム 代表取締役

山下 健一

日本で唯一、税理士業界を3方向(お客様の声、帳簿の中身、事務所の内情)から見てきた税理士コンシェルジュ

税理士紹介を20年。税理士を探す社長の声を、今も聞き続けています。帳簿の中身は経理の代行で、事務所の内情は1,600名以上の所長面談で見てきました。税理士でも会計士でもない第三者だから話せる裏側を、お伝えします。

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