会社設立後に従業員を雇ったら、労働基準監督署とハローワークへ10日以内に届け出ます

聴診器と、顔写真の枠がある横長のカード2枚、記入欄の枠だけの届出用紙とペン

パートやアルバイトを含めて従業員を1人でも雇ったら、労働基準監督署へ労働保険の保険関係成立届を、ハローワークへ雇用保険の適用事業所設置届を、どちらも10日以内に出します。

書類出す先期限
労働保険 保険関係成立届労働基準監督署保険関係が成立した日(最初に人を雇った日)から10日以内
労働保険 概算保険料申告書労働基準監督署・都道府県労働局・日本銀行(代理店を含む)保険関係が成立した日から50日以内
雇用保険 適用事業所設置届ハローワーク事業所を設置した日の翌日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届ハローワーク雇った日の属する月の翌月10日まで
適用事業報告労働基準監督署労働者を使うようになったら遅滞なく

旧サイトでは、このページに全国の労働基準監督署の住所と電話番号を載せていました。監督署やハローワークは庁舎の移転や担当区域の見直しがあり、20年近く前の一覧はそのまま使えません。そこで一覧の代わりに、厚生労働省の所在地案内から自分の会社の窓口を探す方法と、最初の従業員を雇ったときに出す書類をまとめました。役員だけで動いている会社には、まだこの手続きはありません。手続きが始まるのは、パートやアルバイトも含めて「人を雇った日」からです。採用が決まった時点で、この記事の表と期限を確認しておきましょう。労災保険と雇用保険の違いや、窓口に行かずに出せる電子申請の使い方もあわせて説明します。

労働基準監督署とハローワークの探し方

厚生労働省の都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧から探します。このページに載っているのは各都道府県の労働局の所在地で、個別の監督署やハローワークは、都道府県名のリンクから進んだ先のページで確かめます。各労働局のページには、監督署・ハローワークごとの担当区域が載っています。

探すときの基準は、従業員が実際に働く事業所の住所です。労働基準監督署とハローワークは別の役所なので、担当の署所はそれぞれ確かめてください。

労働保険と雇用保険のちがい

労働保険は、仕事中や通勤中のけがなどに備える労災保険と、失業したときなどに給付がある雇用保険をあわせた呼び名です。厚生労働省は、パートやアルバイトを含めて労働者を1人でも雇えば、業種や規模に関係なく労働保険の適用事業になると案内しています。

  • 労災保険:雇ったすべての労働者が対象。手続きは労働基準監督署
  • 雇用保険:1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上続けて雇う見込みがある人が対象。手続きはハローワーク

多くの業種では、労災保険と雇用保険をまとめて扱います(一元適用事業)。業種によっては2つを別々に手続きする場合(二元適用事業)があり、そのときは雇用保険の成立届をハローワークに出し、概算保険料の申告は労働局か日本銀行で行います。

最初の1人を雇ったときの流れ

労働基準監督署で労働保険を成立させる

最初に、保険関係成立届を雇った日から10日以内に出します。同時か、そのあとに概算保険料申告書を出し、その年度に払う見込みの賃金をもとにした保険料を前払いします。期限は保険関係が成立した日から50日以内で、申告書と納付書に保険料を添えて、監督署・労働局・日本銀行(代理店を含む)のいずれかで納めます。

概算保険料が40万円以上なら、分割(延納)もできます。ただし、9月30日までに保険関係が成立した事業場に限られます。

ハローワークで雇用保険に入る

労働基準監督署での手続きを先に済ませてから、ハローワークに雇用保険の適用事業所設置届を出します。期限は事業所を設置した日の翌日から10日以内です。あわせて、雇用保険に入る従業員ごとに被保険者資格取得届を、雇った月の翌月10日までに出します。2人目以降を雇ったときは、資格取得届だけで済みます。

労働基準監督署に出すほかの書類

  • 適用事業報告:労働者を使うようになったら、業種を問わず遅滞なく出します。
  • 時間外・休日労働に関する協定届(36協定):法定の労働時間を超えて働かせる、または法定休日に働かせる場合に、事前に出します。
  • 就業規則(作成・変更)届:常時10人以上の労働者を使う事業場は、就業規則を作り、労働者の過半数代表者の意見書を付けて出します。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は窓口が年金事務所で、期限も5日以内と別です。手続きは年金事務所の調べ方と新規適用届を見てください。

ハローワークと監督署へ持っていくもの

神奈川のハローワークの案内では、法人が雇用保険の適用事業所設置届を出すとき、次の書類を求めています(コピー可)。

  • 3か月以内に取った登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 事業の実態が分かる書類:取引の契約書、許可証、請求書、注文書など
  • 登記と違う場所で事業をしている場合:賃貸借契約書など所在地が分かるもの

資格取得届では、雇った事実と日付が分かるもの(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など)や、パート・有期雇用なら労働時間と契約期間が分かる雇用契約書を求められることがあります。期限内に出し、書類に大きな食い違いや保険料の滞納がなければ、これらの添付を省ける場合もあります。必要な書類は地域や状況で違うため、出す前に担当のハローワークに確かめると二度手間を防げます。

労働基準監督署に行くときは、会社の登記の内容、事業所の住所、雇った人数と雇った日、1年間に払う賃金の見込み額を手元に用意しておくと、成立届と概算保険料申告書をその場で書けます。

e-Govの電子申請で済ませる

労働保険・雇用保険の手続きは、e-Gov電子申請でもできます。厚生労働省の操作マニュアルでは、保険関係成立届、概算保険料の申告、毎年の年度更新の申告がオンラインで出せると案内しています。

ログインにはe-Govアカウント、GビズID、Microsoftアカウントのいずれかを使います。ただし保険関係成立届は、GビズIDでログインした場合でも電子証明書の添付が必要です。最初の手続きは窓口で済ませ、毎月の資格取得届や毎年の年度更新から電子申請に切り替える方法もあります。

労働保険の手続きをしないまま従業員を働かせていると、さかのぼって保険料を徴収されるうえ、追徴金もかかると厚生労働省は案内しています。採用が決まったら、入社日から逆算して書類をそろえておきましょう。

よくある質問

アルバイトを1人雇うだけでも労働保険に入る必要がありますか?

必要です。厚生労働省は、パートやアルバイトを含めて労働者を1人でも雇えば、業種や規模に関係なく労働保険の適用事業になると案内しています。まず雇った日から10日以内に労働基準監督署へ保険関係成立届を出し、50日以内に概算保険料を申告して納めます。雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上雇う見込みがある人が対象なので、短時間のアルバイトは労災保険だけの場合もあります。まずは雇う人の労働時間と雇用期間を確かめましょう。

社長や役員は労災保険や雇用保険に入れますか?

役員は原則として労働者に当たらないため、どちらの対象にもなりません。役員だけで運営している会社なら、労働保険の手続きはまだ要りません。ただし、役員でありながら部長などとして働き、給与を受けている場合は扱いが変わることがあるので、担当の労働基準監督署やハローワークに確かめてください。また、中小企業の事業主が一定の条件で労災保険に入れる特別加入という制度もあります。役員だけの会社でも、従業員を1人雇った時点で手続きが必要になります。

労働保険の手続きが遅れたらどうなりますか?

気づいた時点ですぐに手続きしてください。厚生労働省は、成立の手続きをしていない事業主からは、さかのぼって労働保険料を徴収し、あわせて追徴金も徴収すると案内しています。雇用保険の資格取得届も、雇った月の翌月10日という期限があります。採用の予定が決まった段階で、担当の労働基準監督署とハローワークを調べ、登記簿謄本や雇用契約書を準備しておくと期限に間に合います。あわせて、労働基準監督署へ適用事業報告も出しておきます。

株式会社タックスコム 代表取締役 山下健一

執筆|株式会社タックスコム 代表取締役

山下 健一

日本で唯一、税理士業界を3方向(お客様の声、帳簿の中身、事務所の内情)から見てきた税理士コンシェルジュ

税理士紹介を20年。税理士を探す社長の声を、今も聞き続けています。帳簿の中身は経理の代行で、事務所の内情は1,600名以上の所長面談で見てきました。税理士でも会計士でもない第三者だから話せる裏側を、お伝えします。

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