~ 勝てるビジネスモデルと売れる仕組みの作り方 ~

<ゲストプロフィール>

日本経営教育研究所
代表取締役/石原 明(いしはら あきら)

ヤマハ発動機(株)を経て、外資系教育会社に入社。セールス部門で日本1位、世界2位の実績を収める。
1995年、日本経営教育研究所を設立。
メールマガジンとホームページを連動させたマーケティングを確立、WEBを使ったマーケティングの草分け的な存在となる。出版した 「営業マンは断ることを覚えなさい」はアマゾン2週間トップ。

VOL.3
不況時代に生き残る起業家・経営者の条件

最後は、次世代の経営者育成を目的とした「経営次進塾」を主催する石原明先生 に、起業家が最低限抑えておくべき会計のポイントや、これからの起業 家・経 営者に求められる条件についてお伺いしました。

1.起業家が最低限抑えておくべき会計のポイント

山下:借入に対しての先生のお考えを教えてください。

石原先生:インフラ系の会社の借り入れは仕方ありませんが、借り入れは極力理由がなければやらない方がいいと思います。経営に困って手を出すのは、やめた方がいいでしょう。
また返済も含めて単月赤字になったら、リストラなど手をうった方がいいと思います。お金というのは性格とか精神状態の支えになるから、性格が悪い状態で会社をまわしたら悪い回転になってしまいます。

山下:起業家は会計を学んでおいた方がいいですか?

石原先生:はい。しかし、会計がわかってない方が多いです。

山下:会計を学ぶことって、少なくないですか?

石原先生:少ないですよ。教えてくれる税理士さんも少ない。経理の人と相談して、自分にわかる数字のフォーマットを出してもらうようにします。要点だけは自分のフォーマットでおさえておいた方がいい。それがないと、どうなってるの?決算…ってことになってしまいます。それはアウトですよね。

山下:自分なりの納得のいく数字を作ってもらうと。

石原先生:そうですね。わかりやすい表で。管理会計の何がどうなっているか、というのをおさえておく。そこを税理士さんたちに教えてもらったらいいと思います。

山下:経営者目線で数字を話せる税理士は確かに少ないですね。

石原先生:教えると離れると思うけど、教えるから好かれて離れなくなるんですよね。教えない人は、切られた時に、あの先生は全然教えてくれなかったから…となります。目先を考えるか長期で考えるかです。

山下:その点、弊社でご登録頂いている税理士は、会計素人の方にも分かりやすく教えてくれますし、経営の相談まで出来るのでみなさん本当に優秀です。

石原先生:素晴らしい!

2. 現場を知らない経営者の方が成功する!?

石原先生:僕がコンサルをやってきてすごく思ったことがあります。 いいことなんですが、日本の経営者というのは、その業に思いを強く入れすぎる傾向があります。経営理念は絶対持った方がいいですが、思いを入れすぎてしまうと現場寄りになりすぎて、自分がモノを作ったり売ったりし始めます。これもビジネスとしては大事なんですが、マネジメントの視点から考えた場合、実は人間の集団をコントロールする必要があります。日本経済がおかしくなったのは、どの業種でも人の集団をマネジメントする経営スタイルがほとんどないことなんです。

山下:なるほど。実例などありますか?

石原先生:3代目経営者にもなると、実務がまったくわかりません。しかし、これがチャンスです。

山下:それはなぜですか?

石原先生:現場が分からなくても、マネジメントが分かれば成果は出せます。上手にハマる会社は、300人規模でも500人規模でも3ヶ月くらいで大きく変わり業績がよくなります。マーケティングに関しては、僕の本を読んで仕事をされる方が増えてきたので、一歩先の組織の運営に行かせて頂きます。

山下:現場はまったく知らなくてもいいのでしょうか?

石原先生:本格的にできなくていいので、だいたいの流れを掴めるところまでやって早めに手を引いた方がいいと思います。「僕がやるよりも○○さんがやるほうが絶対向いてるんだから、頑張ってよ」って言えます。 そこで「僕がやる!」って言ったらアウトです。そうしたら現場の人になってしまいます。

山下:見えていないと余計不安に感じる方は多いと思うのですが?

石原先生:同じチームなんだから、教えてもらえばいいんです。「あそこに行きたい」と経営理念に向かって教えてもらって、それに対してサポートします、というのが実はマネジメントの役割です。

山下:マネジメントに向いているかどうかは、どうやったら分かるのでしょうか?

石原先生:現場のスペシャリスト型なのかマネジメント型なのかで考えます。現場のスペシャリスト型だと思ったら、自分がスペシャリストになり、スペシャリストを育てながら会社を経営すればいい。自分がマネジメント型だと思ったら、サポーターに変わればいい。現場は任せて、どうしたらみんながもっと働きやすいかを考えながら会社を経営すればいい。

山下:気付いていない人が多い気がします。

石原先生:ほとんどの方が気付いてないですね。現場スペシャリスト型しかないと思い込んでいます。その場合は、僕は今話したようなスタンスを教えたりします。

山下:マーケティングよりも、人の問題を解決できる方は、かなり少ない気がします。

石原先生:起業は一瞬です。モノを売るということです。モノを売る次は、人を採用してたくさん作らなきゃいけない。サービスしなきゃいけない、となると人です。起業よりも組織運営の方が長いんです。マネジメントの9割は組織運営です。でも、みなさんマネジメントが分からないので、事業を興したまま、組織が運営できず会社を大きくできない。私はそれを変えたいんです。

山下:先生がおっしゃる通り、社長が現場を知っていると、現場から離れられない職人気質な方が多いですよね。

石原先生:それはそれでいいんですけど、7~8割は逆の方がいいですよね。何業でも人間がそこで集団になって目標を達成しようとしているんだったら、上手にコントロールするマネジメントをやるべきです。
マネジメントまで出来るようになれば、世界に通用するハズなんです。だから世界に通用するようなプロ経営者を育成したくてミッションに掲げています。最近では大手の会社を相手にするようなコンサルに移行しています。年商で30億円から80億規模のコンサルを今始めています。

山下:前よりさらに雲の上に行ってしまわれるような気がします。

石原先生:そんなことないです。留まっているのが嫌いなだけです。基本的には、僕は興味で生きていて、世の中で誰も解決できないのなら僕が解決しようと思っています。立ち位置が社会の保護者だと勝手に思っているんですよ。

山下:すごい。素晴らしいと思います。

石原先生:自分で仕事をして収益をあげて、たとえば生活することに一応不安がない、となったら、次に何をするって考えます?

山下:志の方に行きます。

石原先生:そうですよね。僕も、世の中を見たらあまりにひどいので、ちょっとこれはなんとかしなくちゃと考えるようになりました。

3.問題がある会社ほど早く・大きく変われる!?

石原先生:問題がない会社と問題がある会社、どちらの方が変えやすいと思いますか?

山下:やっぱり問題が少ない会社の方が変えやすいと思いますね。

石原先生:違うんです。問題がある会社の方が早く変わるんですよ。

山下:それはまたなぜですか?

石原先生:問題がある会社にまだ残っている人って、どういう人だと思います?

山下:ぶらさがりの人ですか?

石原先生:ぶらさがりの人はリストラにあってしまいます。

山下:あ!何とかしようと頑張っている人ってことですか?

石原先生:そう!優秀な人は辞めてしまう。優秀でも残っている人は、なんで残っているか。会社が好き、その仕事を愛しているから残っているんです。

山下:これは、すごい発見ですね。

石原先生:でも、会社内がめちゃくちゃになっているから、コミュニケーションとかマネジメントの方向性を含めて、スムーズにさせるだけでいいんです。これが、採用せず人は辞めさせないで成功する方法です。採用は費用もかかりますし、どこからか変な人を連れてくるより、何十年も仕事している人の方がいいに決まってます。

山下:どれくらいで変わるんでしょうか?

石原先生:3ヶ月くらいで変わります。どう考えても売り上げ目標が達成しなかった会社が、まったく無理しないでここ2年で売上を達成しました。そうなったら僕がアイディアを出せるところまできます。

山下:その秘訣はあるのでしょうか?

石原先生:マネジメントはスポーツ理論からきていますが、なんでもできて、なんでも知っていて、正しく組織を引っ張らなきゃいけない、という間違えた発想自体を変えることです。別に現場を知っているわけじゃないし、こまごまとしたことがわかるわけじゃないし、失敗だっていっぱいするから、わからないということを前提にマネジメントしなくちゃいけない。その考え方とやり方が長年のコンサルで分かったことです。

4.これからの起業家・経営者に求められる条件

山下:起業家・経営者に必要な成功する要因というのはありますか?

石原先生:最初に言ったように、まず好奇心があって、柔軟性が必要だと思います。これからますます変化していくから、これまでのやり方に固執していると絶対ダメだと思います。
それと誰からでも勉強できるような姿勢でないと、たとえば「僕は偉いんだ」みたいなことだとアウトです。フラットな情報の取り入れができなくなってしまう。

世の中にはこれだけたくさん見本があるのに、見本を見ようとしない。業種が違っても、うまくやってる人はうまくやってる能力があるのだから、それをリアルに知ることがすごく重要です。

経営って、無限に物事を知らないとできないかといったら、そんなことはなくて、有限だからそこまで満たしてないんだったら、勉強すればいい。それはなにかといったら今の自分の仕事だったら完璧にまわせるって自信です。

山下:健康面で気をつけていることはありますか?

石原先生:僕は健康管理する日を決めていて、鍼を打ってもらったり、マッサージしてもらっています。 やはり健康は大きな資産だと思います。

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ゲスト:石原 明(いしはら あきら)
日本経営教育研究所 代表取締役

ヤマハ発動機(株)を経て、外資系教育会社に入社。セールス部門で日本1位、世界2位の実績を収める。
1995年、日本経営教育研究所を設立。
メールマガジンとホームページを連動させたマーケティングを確立、WEBを使ったマーケティングの草分け的な存在となる。「成功曲線を描こう」 「心を身軽にする80のインストラクション」「営業マンは断ることを覚えなさい」「気絶するほど儲かる絶対法則」などを出版。「営業マンは断ることを覚えなさい」はアマゾン2週間トップ。
12年運営する勉強会、高収益トップ3%倶楽部の参加者は3500社を超える。
2009年より、上場企業の経営経験がある講師が経営者の教育する経営次進塾を主催。
現在は上場企業を含む中小・中堅企業の経営者に対する経営指導を行う一方で、Facebookやポッドキャストなどの新しいメディアを活用し幅広 い層のビジネスパーソンにも経営や管理、組織運営のノウハウを発信している。

※現在配信中のポッドキャスト「石原明の経営のヒント+(プラス)」
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ナビゲーター:山下 健一(やました けんいち)
296会社どっとこむ 代表

国立大学卒業後、大手記帳代行会社(顧客数700社以上)に入社。新規顧客開拓及び月次フォローに従事。記帳代行トップセールス賞・社長賞を多数受賞。当時のクライアントに経営幹部として入社。
平成18年に296会社どっとこむの運営を引継ぐ。

制作提供:296会社.com (作ろう会社どっとこむ)事業部
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バックナンバー
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Vol.2『勝てるビジネスモデルと王道マーケティング
Vol.3『不況時代に生き残る起業家・経営者の条件』