石原先生:僕がコンサルをやってきてすごく思ったことがあります。
いいことなんですが、日本の経営者というのは、その業に思いを強く入れすぎる傾向があります。経営理念は絶対持った方がいいですが、思いを入れすぎてしまうと現場寄りになりすぎて、自分がモノを作ったり売ったりし始めます。これもビジネスとしては大事なんですが、マネジメントの視点から考えた場合、実は人間の集団をコントロールする必要があります。日本経済がおかしくなったのは、どの業種でも人の集団をマネジメントする経営スタイルがほとんどないことなんです。
山下:なるほど。実例などありますか?
石原先生:3代目経営者にもなると、実務がまったくわかりません。しかし、これがチャンスです。
山下:それはなぜですか?
石原先生:現場が分からなくても、マネジメントが分かれば成果は出せます。上手にハマる会社は、300人規模でも500人規模でも3ヶ月くらいで大きく変わり業績がよくなります。マーケティングに関しては、僕の本を読んで仕事をされる方が増えてきたので、一歩先の組織の運営に行かせて頂きます。
山下:現場はまったく知らなくてもいいのでしょうか?
石原先生:本格的にできなくていいので、だいたいの流れを掴めるところまでやって早めに手を引いた方がいいと思います。「僕がやるよりも○○さんがやるほうが絶対向いてるんだから、頑張ってよ」って言えます。
そこで「僕がやる!」って言ったらアウトです。そうしたら現場の人になってしまいます。
山下:見えていないと余計不安に感じる方は多いと思うのですが?
石原先生:同じチームなんだから、教えてもらえばいいんです。「あそこに行きたい」と経営理念に向かって教えてもらって、それに対してサポートします、というのが実はマネジメントの役割です。
山下:マネジメントに向いているかどうかは、どうやったら分かるのでしょうか?
石原先生:現場のスペシャリスト型なのかマネジメント型なのかで考えます。現場のスペシャリスト型だと思ったら、自分がスペシャリストになり、スペシャリストを育てながら会社を経営すればいい。自分がマネジメント型だと思ったら、サポーターに変わればいい。現場は任せて、どうしたらみんながもっと働きやすいかを考えながら会社を経営すればいい。
山下:気付いていない人が多い気がします。
石原先生:ほとんどの方が気付いてないですね。現場スペシャリスト型しかないと思い込んでいます。その場合は、僕は今話したようなスタンスを教えたりします。
|