さて、実際に起業し、継続的に発展させる企業に成長させるために必要なことは何か、そのために必要な経営者として必要な考え方やマインドについて詳しくお伺いしたいのですが。

まず起業する時には、誰に何を売るのか明確にすること、ニッチなマーケットでオンリーワンになる事業を選ぶことをお勧めします。

トレンダーズの事例でいうと、私の起業当初は、ビジネスを語れる女性が新商品に対して何かアドバイスができるというのが他と差別化できる強みでした。そして、それを自分の意見でなく、たくさんの女性の意見を集めてレポートにまとめればコンサルティングになるな、と思ったんです。 

その次にやることですが、 扱う商品がぼんやりとでも決まった段階で競合他社を研究する、つまり同じ業種の企業でうまくいっているケースとうまくいってないケースを比較して分析することです。これは女性起業塾の生徒さんにもお話ししていますね。 

私の場合、扱っている商品はマーケティングコンサルティングですが、起業当時はインターネット時代が始まり、たくさんの会員を集めるのは資金さえあればできたのです。そこにまともに参入しても勝てないと思ったとき、アナログでひとりひとり優秀な女性だけを集めようと決めました。つまり、母集団に特殊性を持たせ、オリジナリティとクオリティを高くしようと考え、実践しました。そうすることで、後から他社がマネをして価格も低価格で提供しようとしてきたとしても、クオリティさえ維持できていれば、それがひとつの参入障壁になり、価格で負けるなんてことはないと思ったのです。 

まず、オンリーワンビジネスがいかに世の中にとって必要不可欠なものかを確立し、お客様が常に訪れる、また固定のお客様がリピートしてくださる環境を作ります。その流れを作るためには、お客様にとって自社の商品の強みを明確にわかっていただき、お申し込みいただく事業のフローを作成することが必要です。

そして、その流れどおりにお客様が常に訪れる、固定のお客様がリピートしてくださる環境ができたら、その事業を長期的に継続・安定させる段階に入ります。このときに重要なことは、お客様を創造するだけでなく、同時にクオリティをどんどん高めていくことです。市場の反応やお客様のニーズ、そして時代に合わせて、自社の商品・サービスについて微調整を繰り返しながら、その質を高め、進化させていく。そのことができればお客様との強固な信頼関係も築いていけますので、事業も継続的に安定成長させていくことができていきます。さらにリスク分散として、こういった事業をいくつも構築することがポイントです。

と言いますと？

トレンダーズを事例として言えば、最初の女性に特化したマーケティング事業がある程度うまくいったときに、ネイリストの派遣事業をスタートしました。その後も、PR支援事業( http://www.koohoo.jp )、女性起業塾の事業( http://www.w-e.jp )、女性専門の人材紹介事業( http://hr.ones.be )というように、自社の強みとこれまで培ってきた経験・ノウハウを活かした複合的な事業を構成しています。 たとえひとつの事業がうまくいかなくなったとしても、他に事業がうまくいっていれば、すぐに困ることはありませんからね。

また、マーケティングコンサルティングのクライアント様に商品開発のお手伝いをさせていただいた後も、その商品をPRするためにWEB制作や広報のお仕事をさせていただいたりと、一度お客様になってくださった方々を徹底的に大切にし、信頼関係をしっかり築き、長いお付き合いをさせていただいているということもあります。こうして良い関係が築ければ、お客様をさらに大切に思いますから、スタッフもお客様になんとしても応えようという気持ちになり、必然的に質のいい商品・サービスを提供したいという思いになっていくでしょう。

具体的にトレンダーズさんで成功した事例などはありますか？

女性起業塾を始めたばかりの頃は女性で起業している人はまだ少なく、 珍しさを狙い、プレスリリースで“日本初”“若い世代”ということを強調したことがありました。 また、その時には“女性の起業”をブームにすることも狙っていたので 「スチュワーデス、女子アナの次は女性起業家の時代」というようなキャッチコピーをつけたところ、 多くのマスコミで取り上げていただけましたね。

なるほど、経沢社長のように、少し時代の先を読んでニュースになるような 世の中に必要とされている商品・サービスを提供することが重要になってくるのですね。